BMW/BMWの車種情報・試乗レビュー

新たなBMWらしさを手に入れた1シリーズ

7年ぶりにモデルチェンジを果たしたFRコンパクトハッチバック、1シリーズをベルリンで試乗してきました。以前のような官能的エンジンはなくても“新たなBMWらしさ”で、3シリーズを超えたパフォーマンスを見せてくれます。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

現時点では3シリーズを超えた

BMW1シリーズ

本国で今年6月に発表された、2代目となるFRのコンパクトハッチバック。前後重量配分は従来通り50:50とされた。ボディサイズは全長4324mm×全幅1765mm×全高1421mm、ホイールベースは2690mmとなる

BMWの新車発表は、まずオフィシャル写真の公開ではじまるのだが、最初みたとき、ちょいとキープコンセプトすぎるんじゃないか? と思ったものだった。さらに正直になれば、ブサイクになったんじゃないか、と……。

ベルリンで開かれた国際試乗会に参加した。空港の特設会場で、オレンジや赤の新型1シリーズとじっくり向き合ってみると、フォルムそのものは旧型よりずっと安定感がある。踏ん張りの利いた、スポーティなスタイルであることに気付き、だんだんと印象が変わり始めた。

ホイールベースの延伸とワイドトレッド化にも関わらず、全高は以前から据え置き。延びたぶんはリアドアの面積(つまり後席の居住性向上)に相当しているから、真横からのルックスも旧型以上にFRっぽくって格好いい。ななめ後ろからみたスタイルも、どっしりとしていて好印象だ。

“ちょっと見直したぞ、これはアリか、顔はブサイクだけど”とすこしは前向きな気分になって、116iと118iのテンロク直噴ターボのうち、上級の118iスポーツ+Mスポーツサス18インチ仕様に乗り込んでみれば、これが望外に素晴らしい仕上がりで驚いた。
BMW1シリーズ

旧型より全長85mm、全幅17mm、ホイールベース30mm拡大している。またトレッドも前51mm、後72mm広げられた

旧型とは、もはやまったく比べ物にならないほど、シャシーパフォーマンスが向上したのだ。現時点で3シリーズを超えている(ということは、新しい3はもっとすごい?! はず)。

先に断っておくけれど、エンジンにはもはや、以前のBMW車らしい官能性とはまるで無縁。燃費と性能がいいだけで(それが大切なんだけど! )、確かに力はあるけれども回して楽しむもんじゃない。むしろその逆に、回さなくても楽しい、ビーエムらしいと思えるようなクルマ造りを、1では総合的に目指したようにも思える。その先にEV戦略を柱とした新ブランド“i”を見据えているにちがいない。
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