現時点では3シリーズを超えた
本国で今年6月に発表された、2代目となるFRのコンパクトハッチバック。前後重量配分は従来通り50:50とされた。ボディサイズは全長4324mm×全幅1765mm×全高1421mm、ホイールベースは2690mmとなる
ベルリンで開かれた国際試乗会に参加した。空港の特設会場で、オレンジや赤の新型1シリーズとじっくり向き合ってみると、フォルムそのものは旧型よりずっと安定感がある。踏ん張りの利いた、スポーティなスタイルであることに気付き、だんだんと印象が変わり始めた。
ホイールベースの延伸とワイドトレッド化にも関わらず、全高は以前から据え置き。延びたぶんはリアドアの面積(つまり後席の居住性向上)に相当しているから、真横からのルックスも旧型以上にFRっぽくって格好いい。ななめ後ろからみたスタイルも、どっしりとしていて好印象だ。
“ちょっと見直したぞ、これはアリか、顔はブサイクだけど”とすこしは前向きな気分になって、116iと118iのテンロク直噴ターボのうち、上級の118iスポーツ+Mスポーツサス18インチ仕様に乗り込んでみれば、これが望外に素晴らしい仕上がりで驚いた。
旧型とは、もはやまったく比べ物にならないほど、シャシーパフォーマンスが向上したのだ。現時点で3シリーズを超えている(ということは、新しい3はもっとすごい?! はず)。
先に断っておくけれど、エンジンにはもはや、以前のBMW車らしい官能性とはまるで無縁。燃費と性能がいいだけで(それが大切なんだけど! )、確かに力はあるけれども回して楽しむもんじゃない。むしろその逆に、回さなくても楽しい、ビーエムらしいと思えるようなクルマ造りを、1では総合的に目指したようにも思える。その先にEV戦略を柱とした新ブランド“i”を見据えているにちがいない。