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銀座ヨシノヤ 九分仕立て紳士靴アトリエ訪問記

世間がオーダーだハンドソーン・ウェルテッドだと騒ぐ前から、我が国でその技術継承に大きな役割と貢献を果たしてきた、銀座ヨシノヤの紳士靴。その製造を長年に渡り託されているアトリエに、先日お邪魔することが出来ました。普段は見ることの難しい真剣な作業風景の一端を、写真でご紹介します。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

高品質を生み出すアトリエを訪問!

春と秋の年二回実施されている銀座ヨシノヤの九分仕立て紳士靴パターンオーダーフェア。前回は東日本大震災の翌日からと言う極めて厳しい環境下での開催だったにもかかわらず、受注数には大して影響が無かったそうです。見栄やファッション雑誌の影響ではなく、品質そのもので商品を選べる「理性的で思慮深い階層」を、顧客として既にガッチリ掴んでいる証拠!

その優れた品質の源=製造元であるアトリエを見学できるチャンスが、この夏のある日に訪れました。銀座ヨシノヤでは既製品であれフルオーダーの品であれ、高価格帯の紳士靴は全てこの工房に製造を依頼し、長年の太い信頼関係で結ばれています。今回はその時に収めた写真から、いくつか絵日記風にご紹介致しましょう。
インソール形成

革包丁が巧みに操られ、インソールが形作られます

上の写真は木型に合わせてインソールを作製しているところです。銀座ヨシノヤの九分仕立て紳士靴では、アウトソールと同じくイタリア製の高品質な牛革を使用します。アウトソールに比べ話題に上る頻度こそ少ないものの、この部分の素材と仕立ても履き心地を大きく左右します。
釘打ち

何のためらいもなく、無心に釘が打ち込まれる潔さ!

出し縫いを終え、ヒール部を釘で固定している工程です。アウトソールの「曲面」と、アッパーの土踏まず部の「くびれ」の度合いがお解りいただけるでしょう。思い通りの場所に躊躇せず、パシッと釘を打ちつけて行く音が、今でも耳に残っています。
アウトソールを叩く

この僅かな手間が、ソールの見栄えも持ちも向上させます

縫い付けたアウトソールを叩くことで、形を整え強度を高めます。これはマッケイ製法の靴ですが、この工程自体は九分仕立てでも一緒。何気ない工程ですが、これを正直に行うか手を抜くかでは、アウトソールの耐久性が雲泥の差になるのです。

丁寧な作り込みの続きは、次のページに!
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