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MBA重要科目 ファイナンス論

会社の価値を高めるためにお金の問題をどのようにするべきかを経営者として考えるのがファイナンスです。お金の問題を扱うだけに、数学(算数)の知識も必要。今回は、ビジネススクールのファイナンス論がどういうものかお話いたします。

福原 正大

執筆者:福原 正大

MBA・海外留学ガイド

お金の価値

ファイナンスは企業活動全般をお金の価値に置き換えて考える

得意な人と苦手な人がはっきり分かれるのが、必修科目の「ファイナンス」。数学(実際はほとんど算数)を利用するためです。一方で、授業終了後は、全ての学生が「ファイナンス」の知識が経営に不可欠であることを理解し、MBA取得後も頻繁に利用する知識となります。今回は、ビジネススクールの「ファイナンス」科目についてお話ししましょう。

ファイナンスはお金の学問

「企業が新規ビジネスを立ち上げる」「日々の最適商品在庫を保有する」といった企業の活動を裏側で支えるのがファイナンスです。というのも、「企業が新規ビジネスを立ち上げる」ためには、「広告費用や新規ビジネスに携わる人の賃金」といったお金が必要になります。「日々の商品在庫を保有する」ためにも、「倉庫管理費用」や、「売掛けしている商品の資金確保」といったお金がからむのです。

こうしたお金に関わる科目は、「ファイナンス」とともに、過去のお金の動きを貸借対照表や損益計算書などから読み解く「アカウンティング(会計)」があります。同じくビジネススクールでの必修科目です。アカウンティングを事後的な企業成績表にかかわる学問とすると、ファイナンスは企業戦略として事前にお金の問題を計画する学問といえるでしょう。

MBA取得後の仕事で切り分けると、アカウンティングは会計士の仕事と直結し、ファイナンスは投資銀行やコンサルティングの仕事と直結しているのです。

アカウンティング知識は前提

ファイナンスを学ぶにあたっては、アカウンティングの知識を前提とします。言い換えると、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー表を読め、作成できないとファイナンスの授業についていけません。どのビジネススクールでも、最初の学期にアカウンティングを必修として翌期にファイナンスの授業を設定するか、ビジネススクール入学前にアカウンティングの予備授業を設けるのは、ファイナンスの授業を理解するために必要だからです。

ファイナンスでは時価が重要

ファイナンスの目的は、「企業価値最大化」のための資金戦略。授業では、企業戦略と整合的にお金をどのように扱い、企業価値を最大化する方法を考えていくのです。企業価値を考える際に注意しないといけないのは、アカウンティングの授業では簿価評価が多用される一方、ファイナンスでは常に時価で考えることです。つまり、企業価値とは会社の時価を指すのです。

簡単に時価と簿価を説明しておきましょう。ここに骨董品の時計があったとします。この時計を企業が50年前に買った際は100円だったとします。この場合、貸借対照表上は時計を資産に100円として計上しています。しかし、この価値が上がり、現在1千万円だとすると、時価ではこの時計を1千万円として評価するのです。100円ではないのです。最近、アカウンティングの世界でも簿価から時価を幅広く使うべきだとの議論がありますし、すでに一部の資産には時価を適用するようになって、ファイナンスとアカウンティングの垣根が狭まっていることも理解しておきましょう。
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