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夏から二人でカニ三昧 たら竹崎「鶴荘」(2ページ目)

有明海をのぞむ佐賀県太良町は国内屈指の干満差を見せる町。月の引力で美味しくなるカニがいるという。地元の人が好むオスガニは9月まで。もちろん良質な温泉も湧いている。夏から二人でカニ三昧してしまおう!

山田 祐子

執筆者:山田 祐子

旅館ガイド

驚くべきワタリガニの実力 

お待ちかねの夕食は、宿自慢のカニ三昧だ。ワタリガニはスープや出汁などで使われることが多いと思いきやとんでもない。茹でて、焼いて、揚げて、刺身で、とまさにフルコース。立派な爪を割ると肉厚の身が飛び出した。味が濃いので何も付けなくてよい。甲羅に詰まった卵は、極上のからすみを彷彿させる濃厚な味だ。

鶴荘

肉厚の身が飛び出してくる!

 

九州随一の日本酒処、佐賀 

鶴荘

朝食までカニを堪能

宿でのお楽しみはカニだけではない。若主人である赤木一成さんが常に用意しているのは、九州きっての酒どころ佐賀の地酒だ。「九州で酒と言えば焼酎ですが、佐賀では日本酒。美味しい米があるからでしょう」とその魅力を語ってくれた。一皿平らげては口を酒で清めて次の皿へ。あっという間にカニの殻の山ができた。朝食でもカニとご対面。釜にカニを丸ごと入れて炊かれた釜めしと、カニでダシをとった味噌汁。朝から贅沢である。
 


 

その訳は、たくさん獲れないから 

鶴荘

リニューアルしたばかりの客室

本来であれば、このうまいカニの存在は多くの人に知られて然るべきである。しかし、捕獲高が多くないために大量販売ができず、全国の旅行パンフレットには載る機会が少ない。そのため、地元の人のみぞ知る味覚になってしまっている。一泊二食の料金も1万5130円~と首都圏向けより良心的な九州価格になっているのだ。
そうした地域の味覚が日本には少なくない。竹崎カニは、舌の肥えた食通の方にぜひ味わっていただきたい味覚のひとつである。6月から9月までは身の詰まったオスガニの季節。脱皮を繰り返した殻は柔らかく、素揚げや天ぷらにして丸ごと食べるのが最高だという。10月から5月までは卵を味わえるメスの季節になる。

太良町には海水浴場がないので夏でも比較的混まない。雄大な景色を眺めながら温泉を楽しみ、カニを堪能するには格好の穴場といえるであろう。


佐賀・たら竹崎温泉 鶴荘
住所:佐賀県藤津郡太良町大字大浦道越港
TEL:0954-68-2758
地図:Yahoo!地図情報

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