賃貸オーナーゆえに災害リスクは重視ポイント
壁の一面をブラウンにしてアクセントをつけているところも、これまでの賃貸になかったイメージ
会場での取材に対応してくれた同社東京南シャーメゾン支店の営業担当に、なぜオーナーに選ばれるのか質問したところ、こんな答えが。「やはり圧倒的に技術や建物への信頼でお決めいただけるようです」。
大きく言うと、耐震性と防音性。まず耐震性。今や戸建でも当たり前の耐震性ではありますが、こと賃貸オーナーにとっては入居者の安全も預かっているわけです。また地震で少しでも損傷があれば、修繕コストや入居者への修繕説明など、戸建とはまた違う賃貸経営ならではの負担も生じます。このため、地震や災害リスクに対する賃貸オーナーの意識がことのほか大きくなるのも頷けます。
入居者の不満度の高い「遮音」は構造段階で
何もなければ見過ごしてしまう説明ポイントも、いたるところでさりげなくい表記。
同社の「BEREO」は、重量鉄骨ラーメン構造を重量鉄骨H型鋼でさらに進化させた独自のβシステム構法。その構造計算は、高さ60メートルの高層ビルと同じ耐震基準で設計され、超高層ビルのカーテンウォールにも採用されている外壁ロッキング工法を採用。これは、外壁がカーテンのように地震の揺れに沿って回転運動するため、地震の力に強固に耐えるよりも建物への損傷を抑えることができ、外壁の脱落やひび割れが防げるのだそうです。
防音は一見見えないが、入居者にとって毎日実感する重要ポイント
さらに、オーナーの悩みに多いのが「音の問題」。同社では昨春からオリジナル特許技術である高遮音床「シャイド55」を展開。ロの字型の押し出し成型セメントの中央空洞部分にリサイクル材を詰めることで、重量衝撃音から軽量衝撃音まで幅広い振動を吸収。さらに階下では天井下地となる部分に防振ゴムダンパーを設置し、「床」と「天井」のダブルで振動を伝えにくくしています。
一見、防音性というと地味で目立ちにくい性能ですが、入居者にとっては日々追うごとにストレスを感じる部分。特にこうした床・天井の構造技術は建物構造に大きく関わるため、後からリノベーションで改善しにくいところでもあり、新築段階での対策が大きく影響してきます。
賃貸で不満度の高い収納。ここはたっぷりウォークインクローゼット
重量鉄骨構造が可能にする、ずっしりとした安定感や重厚感のある外観。マンション並みのスラブが下にあるから可能になるフローリングの落ち着いた歩行感。ガイドがこの賃貸を見たときに感じた一種の安定感は、こうした目に見えない構造部分が支えていたということができます。
なんといっても、賃貸は戸建よりも大きな投資額に膨らみます。オーナーにとっても末永く資産価値を保ちたいのは当然。そんなときにやはり重視するのは、見た目のよさよりも「見えない部分」とくに耐久性や耐震性や構造内部なのでしょう。そうした「見えない部分」もパネルや模型で説明し、オーナーの安心度や理解度をより深める賃貸実例見学会は今後も各社で増えていくと考えられます。