一昔前と比べ、人々のライフスタイルや家族構成は大きく変わり、住まい方のニーズも変化してきたように思います。それに合わせて住宅のスタイルそのものも、以前とはずいぶんと変わってきました。40年ほど前に登場した「2世帯住宅」はその典型例だといえます。そして、その進化形となる「2.5世帯住宅」という考え方が、最近になって出てきました。今回は、その2.5世帯住宅について解説するとともに、その存在意義や今後の可能性についても考えていきたいと思います。

建築費の負担や家事・子育ての苦労を軽減するメリットも

1階

1階部分(親世帯)の間取り。親世帯と子世帯の玄関が分かれていることに注目。親世帯がなくなった場合、賃貸住宅として活用しやすくなる。子世帯玄関(0.5世帯も使用)の奥には、家族共通で使える「どっちも収納」があるのも魅力的だ(クリックすると拡大します)

2.5世帯住宅は今年の8月に旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)が新たに提唱し、商品化した住まい方の提案です。基本的な考え方は、従来の2世帯住宅(親世帯+子世帯)に0.5世帯(子世帯の兄弟姉妹)をプラスするというものです。

ちなみに旭化成ホームズは、1975年に2世帯住宅を初めて商品化した企業です。その後も社内に設置した「2世帯住宅研究所」「くらしノベーション研究所」などを通じ、常に2世帯住宅のあり方を研究。その成果や時代の変化を反映した2世帯住宅商品を提案することで、高い評価を得てきた企業です。

では、2.5世帯住宅の具体的な内容を見てみましょう。標準的なタイプの提案では、親世帯(夫婦)と子世帯(夫婦と子ども1人)、0.5世帯(子世帯の姉妹)という世帯構成となっています。0.5世帯の姉妹は、独身で正規雇用による職に就いていることが想定されています。

要するに、2.5世帯住宅というのは、「家族内にいる独身者も一緒に暮らしたっていいじゃない」という提案なのです。ご存じのように結婚せずに一生独身で過ごすというライフスタイルや、晩婚化が進行しているのが今の日本の状況。ならば、住宅もそうした状況に本格的に対応していこうというのが、2.5世帯住宅の狙いです。

2階

2階部分は子世帯と0.5世帯が混在するスペース。0.5世帯向けの「充実マイルーム」や「孫共育ゾーン」(子どもが成長したら子ども部屋になる)、「お出かけダイレクト」といったスペースの設置の仕方にも注目したい(クリックすると拡大します)

2.5世帯住宅にはいくつかのメリットがあります。第一は建築費の負担が軽減されること。2世帯住宅の登場にもこの点は大きく関わってきたのですが、親世帯・子世帯・0.5世帯で費用を分担できる2.5世帯なら、よりそのメリットが広がります。

第二に各世帯が家事や育児を協力し合えること。2世帯住宅でもクローズアップされている点ではありますが、0.5世帯が加わることでその可能性が広がるというわけです。もちろん、家事や育児で協力し合えるくらい家族関係が良好だということが、この2.5世帯住宅を実現する条件の一つといえそうです。

家族関係が良好で、2.5世帯住宅に住むことのメリットはこのほかにもあります。それは相続問題。0.5世帯の姉妹は将来的に親世帯が亡くなった後、建物の相続を放棄して、子世帯の子どもたちが継承するかたちが考えられるといいます。それは家族の仲が良く、子世帯の兄弟姉妹が姪や甥を可愛がっている関係だからこそ可能になることだと思います。

マーケティングや顧客調査から生まれた「2.5世帯住宅」

つまり2.5世帯住宅を実現するための最低条件を以下のようにまとめられると思います。
・0.5世帯が独身で一定収入がある
・家族間の関係が大変良い


3階

3階部分は子世帯のスペース。「川の字就寝スペース」とは、子どもが幼い頃は家族みんなで布団をひいて寝ることが多いことに配慮したものだ(クリックすると拡大します)

旭化成ホームズが、2.5世帯の標準的なタイプ、具体的には0.5世帯を「姉妹」と想定したのには、同社がこれまでに建ててきた住宅の中にこのような家族関係、世帯構成、ライフスタイルのお施主さんが相当数いたということがあるようです。つまりはマーケティングの成果がしっかりと反映されているわけです。

具体的には、これまでに建てられた2.5世帯住宅の同居スタイルは、息子夫婦との同居が最も多く(83%)、同居する0.5世帯は女性(つまり姉妹、その中でも姉の方が多い)が63%を占めていたといいます。

同居する姉妹の3/4が生活費を入れて、家計に貢献していたとのこと。建築時にも約4割が資金の一部を負担していたといいます。また、2.5世帯同居の場合、通常の2世帯同居に比べ親世帯が提供する金額が増加していたということも報告されています。

子世帯が今後負担する住居費を軽減しようという親心が見えてくる結果ですね。次のページでは、具体的なプランニングの話を中心に見ていきます。