繰り広げられる買収合戦 安定収益を目指し、規模拡大へと走る
繰り広げられる買収合戦
2006年2月、三菱地所コミュニティーサービスと藤和コミュニティが合併し、「三菱地所藤和コミュニティ」となったのを筆頭に、日本ハウズイングとリロケーションサービスを全国展開するリロ・ホールディングスが、2008年10月に業務提携することを発表しました。
2009年1月には、野村リビングサポートがゼファーからゼファーの子会社であるゼファーコミュニティーの全株式を取得し、また、長谷工コーポレーションも子会社である長谷工アネシスを通じ、ニチモコミュニティ(ニチモの管理子会社)の全株式を取得しています。ご存じ、ゼファーもニチモも民事再生法の適用を申請し、経営破綻した分譲マンション業者です。「捨てる神あれば拾う神あり」とはよく言ったもので、こうして業界地図は塗り替えられていきました。
たとえば、ランキング第1位の日本ハウズイングは、2009年10月にマンション開発・建設事業から撤退することを公表し、ストックビジネスに集中する姿勢を鮮明にしました。「オーダーメイド型管理」を合言葉に、各マンションの理事長宅を訪問営業する力の入れようです。また、東急コミュニティーは今年4月の組織改正で「マンション営業部」を新設し、受注営業力の強化を目指します。コミュニティワン(旧ダイアコミュニティサービス)は株主による陽光ビルシステムとマリモコミュニティの全株取得が奏功し、ランキング上位へと躍進を果たしました。
マンション管理新聞社の調査では、受託管理戸数を減らしている管理会社もあり、その数は108社、全体(384社)の28%に及びます。なかでも受託管理戸数が1万戸未満の管理会社が、その4割近くを占めており、小規模な管理会社ほどリプレイスの対象にされやすい傾向なのが分かります。大手管理会社の“草刈り場”となっているわけです。
マンション市場が飽和時代を迎え、新規分譲が苦戦する中にあって、生き残りをかけたマンション管理大手は買収とリプレイス営業でさらなる規模の拡大を図ります。その一方、小規模な管理会社は受託マンションを横取りされ、規模の縮小を余儀なくされていきます。今後、ブランド力のある大手が市場を席巻するようになるのです。ストックビジネスが脚光を浴びるなか、マンション管理業界はさらに過熱度を増していくことでしょう。