揺さぶられっ子症候群とは? いつまで注意が必要か
揺さぶられっ子症候群とは?
1970年代に初めて米国で症例が報告されました。1980年代には児童虐待の一つの指標として考えられるようになり、日本でも2002年に母子健康手帳に記載されるようになりました。
<目次>
- 揺さぶられっ子症候群、どのくらいの強さが危険か 高い高いやベビーカー・車の振動のリスクは?
- 揺さぶられっ子症候群の定義
- 揺さぶられっ子症候群になりやすいのは新生児~生後6ヶ月未満の乳児
- 揺さぶられっ子症候群の心当たりがあり、以下の症状が出たら注意
- 頭と腰をしっかり支え、ゆっくりあやすのは大丈夫
- 泣き止まなくてイライラしても、揺さぶるのは逆効果
- 揺さぶられっ子症候群予防のため、普段から気を付けたいポイント
揺さぶられっ子症候群、どのくらいの強さが危険か
高い高いやベビーカー・車の振動のリスクは?
高い高いは大丈夫?
親御さんからの相談で多いのは、「夫が高い高いをして大きく揺すってしまったのですが」「義母のあやし方がダイナミックすぎて心配」「どの程度だと揺さぶられっ子症候群になるのでしょうか?」「ベビーカーでのお散歩時にガタガタした道を通ってしまったのですが、そのような振動は大丈夫でしょうか?」「車で運転中に急ブレーキをかけてしまった」など、心配はつきないようです。
バウンサーの揺れやゲップを出すために赤ちゃんを叩く事など常識範囲内の普段のお世話やあやし方で、揺さぶられっ子症候群になることはまずありませんが、長時間の車の運転や子どもを投げるような遊びは気をつけましょう。
覚えておきたいポイントは下記の通りです。
- ミルクを飲まない、笑わない、痙攣、長時間睡眠の症状は要注意
- 頭と腰をしっかり支えて、ゆっくりあやすのは大丈夫
揺さぶられっ子症候群の定義
揺さぶられっ子症候群は、以下の3つを診断の特徴として提唱された症候群です。- 網膜出血
- 硬膜下血腫またはクモ膜下出血
- 体表の外傷が軽微またはない
小児、とくに乳児の体を揺さぶること、ならびに、それに付随する外傷等によって脳組織に加速度損傷と打撃損傷が加わり、その結果、頭蓋内に出血を起こす病気の総称です。
揺さぶられっ子症候群になりやすいのは新生児~生後6ヶ月未満の乳児
首が座ってない乳児は特に揺すった時の振幅が大きい
- 頭部が相対的に大きく重い
- 頸部の筋肉が弱いので支持力も弱い
- 脳が未発達のためクモ膜下腔が大きく、揺さぶられることにより脳組織の移動が大きい
- 脳表面の血管構築が弱い
揺さぶられっ子症候群の心当たりがあり、以下の症状が出たら注意
揺さぶりの心当たりがあって、以下の症状が出たら、脳外科医がいる救急病院に搬送しCTもしくはMRIの検査を受けたほうがよいでしょう。- ミルクを飲まない、または嘔吐する
- 笑わない
- 痙攣
- 長時間眠り続ける(傾眠傾向)
医学的には傾眠状態とか、傾眠傾向にあるという言葉を使いますが、半日以上ミルクなどを飲まずに、起こしてもすぐ寝てしまう状態を言います。お昼寝や夜間の睡眠でも、長い赤ちゃんは6~8時間続けて眠る赤ちゃんもいますが、大抵途中でおっぱいやミルクを飲んでいます。ミルクなどを飲める状態でなく、昏々と眠り続けるようなときは注意が必要です。
頭と腰をしっかり支え、ゆっくりあやすのは大丈夫
頭とお尻をしっかり支えてあやすのは大丈夫
やってはいけないのは、頭が前後にガクガク揺れるほど強く揺すったり、赤ちゃんを空中でキャッチボールするように投げたり、20分も30分も身体全体を揺さぶり続けるということです。頭や首をしっかり支えて、普通にあやす分にはまったく問題ありません。
泣き止まなくてイライラしても、揺さぶるのは逆効果
泣きやまなくても大丈夫と思える余裕も大事
「どうして泣きやまないの?」と揺すってしまう気持ちはよく分かりますが、揺すってしまいそうなときは、どうか一度赤ちゃんを布団に置き、深呼吸して、まず安全な場所に赤ちゃんを寝かせて、その場を離れることも大事です。
赤ちゃんの泣きに対応するのは大変なことです。もし対応できないと感じたら、自らSOSを出す勇気も必要です。そんなときは、最寄の保健センター、児童相談所、子育て家庭支援センター、虐待防止センターに連絡をしましょう。
揺さぶられっ子症候群予防のため、普段から気を付けたいポイント
揺さぶられっ子症候群を予防するため、普段のお世話では以下のことに気をつけましょう。- チャイルドシートは月齢に合ったサイズのものを正しく装着する
- 長時間、車に乗らなくてはならないときは、1時間半~2時間ごとに休憩を取り、その際は、チャイルドシートから下ろす
- 首の座っていない乳児を長時間移動させる場合は、水平型のチャイルドシートが好ましく、頭を保持するヘッドギアがあると理想的です。なければドーナツクッションでもよいでしょう
- 泣きやまないからといって、体を前後に強く揺することはやめる(父親がやりがちだそうです)
- 赤ちゃんを大人2人でキャッチボールするように投げる遊びや、天井に向って高く投げ、受け取るなどの遊びはやめる
- 赤ちゃんにゲップさせるときは、首は固定し、強く背中を叩き過ぎないようにする
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