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生活費の3カ月分を貯金!いざという時のお金術

人生は山あり谷あり。窮地に陥ったとしても、持ちこたえられる力があれば乗り越えて、幸せな日常を取り戻すことができます。家計の場合、いざという時の支えとなる金銭的な備えが大切。いざという時のお金はいくら必要でしょうか?家計の基礎体力をつけるにはどうすればいいでしょうか?

坂本 綾子

執筆者:坂本 綾子

預金・貯金ガイド

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いざという時に備えて、家計の基礎体力をつけておこう!

毎月の生活費がぎりぎりで給与振込み日にホッとするお宅。足りない分はクレジットカードのボーナス払いで収支を合わせているお宅。住宅ローンの支払いが大変で妻がパートを始めたお宅。このような家計であっても、いつもと変わりない毎日であれば、なんとか過ぎていくのかもしれません。しかし想定外のことが起きたら、このままだと危険です。
 
いざという時のお金はいくら?

いざという時のお金はいくら必要?

突発的な事故や天災はいつ起こるかわかりません。また雇用が不安定な現在、失業しないともかぎりません。病気で働けなくなるかもしれません。いざという時の支えとなる金銭的な備えは、いわば家計の基礎体力。上手に家計運営を行いながら家計の基礎体力をつけておきましょう。
   

いざという時のお金はいくら必要か?最低限、生活費3カ月分の貯金を 

東日本大震災では、日本国内のみならず海外からもたくさんの義援金が集まりました。すばらしいことですね。しかしながら、義援金がすぐに被災者の手元に届いたかといえば、残念ながら、そうではありません。

また、家族が亡くなった、重度の障害を受けた、自宅が損害を受けた場合は給付金をもらえたり、税金の減額、社会保険料の減免・猶予なども受けられるなど、様々な公的支援も行われています。しかし生活の再建にかかわる費用(災害援護資金、生活福祉資金)は、返済が必要な貸付となっていますし、こういった資金を受け取るには手続きが必要で、時間もかかります。

想定外の出来事が起きたとき、その直後の生活は、やはり自分のお金をどれくらい持っているかにより大きく違ってきます。最低限持っていたいのが、生活費3カ月分。3カ月の間には、生活再建のメドを立てられる可能性が高いからです。6カ月分あれば、もう少し余裕が生まれます。例えば毎月の生活費が25万円なら75万円~150万円。この生活費3カ月分~6カ月分は、すぐに現金として引き出せる流動性の高い資産で持っておくことが重要です。
 

いざという時のお金、預け先は銀行の普通預金や定期預金 

資産には、流動性の高いものと、低いものがあります。流動性とは、現金化がしやすいかどうかということ。すぐに引き出せる貯金は流動性が高い資産です。それに対して不動産は流動性が低い資産です。3億円の価値のある住宅に住んでいたとしても、今日すぐに3億円で売れて現金が手に入る可能性は低いからです。

また、株式や投資信託は、お金が必要になったら売って換金できますが、そのときに価格が下がっていれば損をします。中・長期で保有するのが原則で、売却はタイミングよく行いたいもの。いざという時の資産には向いていないと言えるでしょう。

すぐに引き出せるといえば、銀行の普通預金です。今は金利が低いので、お金の管理が上手な人は普通預金でもかまいません。つい使ってしまいそうな人は、日常の家計費と分けておく意味で定期預金がおすすめ。定期預金を中途解約すると利息は減りますが、元本まで減ることはありません。総合口座にしておけば、定期預金を解約しなくても自動貸越の扱いとなりキャッシュカードで定期預金の9割まで引き出すこともできます。
 

子どもがいるなら死亡保障をプラス 

高校生以下の子どもがいる家庭では、生活費3カ月分~6カ月分の貯金に加えて、教育費として子ども1人当たり500万円から1000万円程度の死亡保障(被保険者は家計の担い手)を確保しておくと、さらに安心です。

一家の大黒柱が亡くなった場合、遺族年金や、残された配偶者の再就職により得られる収入で、日々の生活費はなんとかまかなえるとしても、日本は高校以降の教育費が高いからです。どのような教育を受けるかは、その後の仕事や人生に大きく影響します。インターネットで加入できる掛捨ての定期保険なら、保険料は月々数千円と割安です。

3カ月分~6カ月分の貯金と、子どもの教育費としての死亡保障、この2つが準備できたら、最低限の備えができたことになります。次にあと2つ、実行しておきたいことを紹介します。
 

シンプルでわかりやすい家計にしておく

あちこちに口座を開いて、引き落しも複数の金融機関にわたると、管理が煩雑です。取引する金融機関は、なるべくまとめて、シンプルでわかりやすい家計にしておいた方が、突発的な出来事が起きて混乱しているとき、誰かに頼むとき、引き継いでもらうときにラクです。また、お金の流れを把握しやすいので、無駄使いなども見つけやすいものです。お金の使い方も含めて、家計がすっきりと整理整頓されていることも、基礎体力の要素に入ります。
 

仕事の将来像を考える 

家計に入ってきたお金の使い方、貯め方のみならず、お金の入り口である仕事の将来像や、キャリアアップのためになすべきことを考えておくことも重要です。

グローバルな競争社会の中で、長期にわたって一定の収入を確保し続けられる保障はありません。災害に遭うなどして生活資金の貸付を利用した場合は、その後の収入から返すことになります。一家の大黒柱が病に倒れた、亡くなった場合は、残された家族のお金を稼ぐ力により家計は左右されます。

そもそも収入がなければ家計は成り立ちませんから、働いてお金を稼ぐ力は、家計の基礎体力として不可欠です。子育てなどで仕事を休んでいる人は、復帰できる力を維持する、準備することも考えましょう。
 

さらなる体力は資産形成 

家計の基礎体力をつけた後は、教育費など目的に応じた資金を貯めつつ、一部を投資に振り向けるなど、家庭の状況に応じて資産形成を考えましょう。

投資の利益が非課税になる「NISA」や「つみたてNISA」を活用してください。特に「つみたてNISA」は毎月少額から積立てで投資ができるので、家計への負担は少なくてすみます。また、勤務先が確定拠出年金を導入しているなら、運用方法を見直してみましょう。定期預金のままになっていませんか? 確定拠出年金は、老後資産を準備するため大事な口座です。上手に活用して老後資金をしっかり確保したいもの。会社員でも勤務先に確定拠出年金がない人や自営業者は、iDeCoこと個人型の確定拠出年金を検討しましょう。長期にわたって投資を行うことで、預貯金よりも資産を増やせる可能性が高まります。


人生、そう思い通りにはいかないものです。けれど備えや計画があれば、修正して、再スタートをきることができるでしょう。お宅の家計の体力はどれくらいありますか? 一度考えてみてください。

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