貴腐ワインはパッション
極甘口の貴腐ワインに使うブドウの収穫は、貴腐が進んだ部分を選んで収穫する。収穫開始日は公示されるが、終わりは決まっていない。11月中旬頃まで収穫する年もあり、12月にずれ込むことすらある。毎年貴腐ブドウが出来やすい区画のブドウに貴腐がつくのをひたすら待ち、何度も見回って収穫を繰り返す。雨が降ればブドウが腐敗してしまうリスクもあるため、タイミングの見極めが難しい。ジャン・クリストフは「収穫は本当に大変です。もちろん辛口ワインを造ったほうが手間もかからず収益は上がります。しかし自分にとって甘口ワイン造りはパッション。自分がこのワインを好きで、決意があるからこそ続けられるのです」という。ワイン造りでは自然を尊重し、既製の培養酵母を使わず野生酵母で発酵させるほか、畑のエコシステムを尊重するリュット・レゾネ農法をとるなど環境への配慮はぬかりない。
ドーフィネ・ロンディロンの畑は粘土石灰質で砂利が混じった土壌。ブドウ品種はセミヨン70%、ソーヴィニョン・ブラン30%の極甘口ワインで、温度24℃で2~3週間の発酵と1年半の熟成。いずれもステンレスタンクで行う。貴腐ブドウのアプリコットやハチミツのような風味がたっぷりだ。
ドーフィネ・ロンディロンの最上級ワイン「キュヴェ・ドール」2003年は暑く湿度が上がったヴィンテージで10月17日に収穫したブドウで造り、フルボディで力強くまろやか。新樽をふくむ樽での発酵・熟成を経る。「こうした年なのでバランスのよい味わいに仕上げるよう努めた」というだけあり、ほんのりとミントを思わせるフレッシュな香りがアクセントになっている。