伝統を受け継ぐ7代目
ボルドーの甘口白ワインは、ソーテルヌだけではない。ガロンヌ川を隔てた対岸で高品質のワインを造るシャトー・ドーフィネ・ロンディロンを訪れた。1936年からダリエ家が所有するシャトーで、現当主で7世代目ジャン・クリストフと妻サンドリーヌの夫婦が営む。およそ200年前に建った、ボルドーの伝統的なシャルトリューズ様式建築の邸宅に移り住んで1年以上経つが、少しずつ内装をリノベーションしている。旅行好きで、インテリアにはインドや中国などアジアの骨董品も多い。お気に入りの部屋は天井が100年ほど前のもので、そのまま修復するのが大変だったとサンドリーヌは言う。モダンで国際的なライフスタイルである。
ドーフィネ・ロンディロンはルピアックだが、そのほかにカディヤックのシャトー・レ・トゥーレールも造っているので、まずこちらを試飲した。ブドウ品種はセミヨン90%、ソーヴィニョン・ブラン10%で、リットルあたり残糖分60g以上の半甘口ワインである。発酵は2~3週間かけ、温度は30℃まで上げる。ブドウは遅摘みし、貴腐化した(熟したブドウに灰色カビがついて水分を蒸発させ、果汁が凝縮した)果粒が30~40%の房を使う。甘味が強すぎず、フルーティで酸味が効いているので、パーティーや食前のアペリティフにも向いている。