アーバンの処女性
ガイド:テーマとしては、やはり少女の目線からの世界観。松永さんが作った世界はよこたんが歌う事で狂気には至らず、乙女の妄想化(よく言えば浄化)される。こんな構図が僕には見えるのですが、どうでしょう?
松永:
浄化は処女性に因るものでしょう。アーバンギャルドは美醜の価値を並列し、時に転倒させるのが我々のテーブルマナーですが、戦場に白い旗を立てる沖縄の少女のように、地獄の日常に一輪の花を咲かせる浜崎という存在によって、アーバンギャルドの音楽は音楽として成立できる。都市の雑踏が色づき、少女の夢想としてパッケージされるのです。
浜崎:
アーバンの世界観というものは、女性なら皆一度は体験するような葛藤や苦悩や、喜びや妄想の産物だと思っています。誰かに憧れてその人になりたいけど、なれないことは既に分かっている、それでもその人のことを思う時が幸せだったり…その矛盾が狂気に至らないギリギリの切ない感情を掻き立てていると思っています。その一部に成れているならば光栄です。
ガイド:
アーバンらしい混沌とした分裂気味なサウンドですが、芯はとってもポップですね。ちょっと大瀧詠一していたり。
松永:
イーーーーーチ、タイム!!! 実はシティポップスも結構好きなんです。湾岸系の風ですね。
アドバイザリープロデューサーであるホッピー神山さんの手によりストリングスや鐘の音が加えられたことで、桃色めいたサウンドにパリ革命前夜のような緊張感が一筋流れました。処女が初めて流す、一筋の血ですね。
浜崎:
先日別件のインタヴューを受けたときに「統合失調症のようなサウンド」と評されたのですが、まさにその通りだなと妙に納得してしまいました。全ての場面展開でまるで別人のようなサウンド構築がされているのにポップというのがアーバンらしさなのではないかと。