トルコ/トルコ基本情報

トルコのラマダン(断食月)

イスラム教徒の義務の一つに、年に一度、約1ヶ月間の断食があります。ラマダン(トルコ語でラマザン)と呼ばれているこの時期、トルコ旅行をする上で気をつけたいこと、そしてラマダン後に続く3日間の砂糖祭(シェケル・バイラム)などについての情報はこちらです

執筆者:安尾 亜紀

トルコのラマダンと断食祭(ラマザン・バイラム)

ラマザン中のブルーモスク

ラマダン中、モスクにはこのようなイルミネーションが装飾されることが多い

「ラマダン」とは、イスラムのヒジュラ暦で言う「第9月」の意味。敬虔なイスラム教徒は毎月このラマダンの一ヶ月間、日の入りから日の出まで飲食(タバコや性行為も含む)を断ちます。このヒジュラ暦は太陰暦なので、ラマダン月は毎年11日ずつずれて行きます。そして2012年のラマダンは、7月20日(金)~8月18日(土)と真夏に相当。日が出ている時間も長く、断食をしている人にとってはなかなか辛い一ヶ月になります。

断食の時間帯と旅行への影響

イフタール渋滞

イフタールに間に合うべく家路に走る断食中のドライバー渋滞は、ちょっと怖い

具体的な断食時間は、夜明けのエザン(モスクから祈りの時間を呼びかける声)から始まり、日の入りのエザンまで続きます。日の入りのエザンと共に開始する食事はイフタールと呼ばれ、とても大切。このためイフタール直前には都市の交通機関はかなり渋滞するので、ラマダン期間中はこの時間帯の移動は避けた方がいいでしょう。

ちなみに2012年のラマダン月の日の入り時間は19時半から19時ぐらい。この直前は渋滞のみならず断食でイライラしたドライバーたちの運転もかなり荒くなります。もし渋滞に巻き込まれそうな時間になってしまったら、むしろイフタールの時間なってしまうまで移動は待ちましょう。イフタールになると皆が一斉に食事につくので、逆に交通はガラガラになるのです。

イフタール

各家庭でもレストランでも、イフタールの食事はちょっと豪華

イフタールは家族や親せき、友人たちが集まって豪勢な食事会になることも多いため、ラマダン月にはレストランが大混雑。どうしても行きたいレストランがある場合は、事前に予約をしておきましょう。また、多くの店は断食中、イフタール用の特別メニューを提供しており、逆に通常メニューは品薄な場合もあります。

一方、夜明けを告げるエザンの前に食べておく食事がサフル。夜中に起きて食事を終わらせなければならないため、皆を起こすべく、夜中の3時頃に太鼓叩きが道を往来。この時期、ドンドコ太鼓の音が聞こえてもびっくりしないように!

ラマダン中の注意

ラマダン期間のトルコ旅行、周囲のトルコ人が飲食を断っているなか、目の前で食事をしてもいいの?なんて心配はご無用。基本的に断食はイスラム教徒の義務ですから、外国人や非イスラム教徒が断食をしていなくても白い目で見られることはありません(子どもや老人、妊婦や病人なども免除)。イスタンブールやアンカラ、イズミールといった大都市では、すでに断食しているトルコ人の数も少なくなりつつあり、「今って本当にラマダン中?」と疑ってしまうほど。

コンヤのイフタール

コンヤでは町をあげてのイフタール食事会も催されます(Yenisafak紙より)

逆にアナトリア内陸部の保守的な町では今でも堅実に断食を行っている人の数が多く、そういう町では昼間もレストランが薄暗かったり、道行く人から見えないようにカーテンがひかれていたり、ビールは置いていなかったりすることも。こうした地域の旅行は周囲のトルコ人にも気を配るのが礼儀なので、食べ歩きや、堂々とアルコールを飲んだりするのは避けた方がいいかもしれません。保守的な観光都市としてはコンヤやカイセリなどあげられます。

ラマダン中の見どころ

スルタンアフメット露天

スルタンアフメット近辺はラマダン中の露天が有名

ラマダン中は市などが主催で貧しい人たちにイフタールの食事を提供するテントが公共広場などに張られます。日の入り後には誰もが普通に食べたり飲んだりできるので、露天が並ぶことも多く、イスタンブールの場合スルタンアフメット広場が露天で賑わう有名スポットになっています。一種のお祭りのような雰囲気もあるので、ちょっと散策してみるのもいいかも。

ラマダンはイスラムの宗教イベントであるため、この期間中モスクにはコーランの戒律など表したイルミネーションが装飾されていて、こちらもラマダン期間限定の見どころです。

そして、ラマザン・バイラム(断食祭)

砂糖祭のスーパー

スーパーの店頭にお菓子がぎっしり並びます

辛い一ヶ月の断食が終わると、3日間の「断食祭」(ラマザン・バイラム)に突入。断食の終了を祝して甘いお菓子をたらふく食べるお祭りでもあるので、砂糖祭(シェケル・バイラム)とも呼ばれており、スーパーなどでは山のようにお菓子が積み上げられています。メインはチョコレートや飴で、どの家庭も訪問客やお菓子をもらいに訪れる子どもたち用に、この時期たくさん買い込みます。期間限定なので、お土産にもいいかも。

断食祭はいわば日本のお盆やお正月のようなもので、会社や学校は祝日扱い。トルコ人は実家に帰ったり旅行に出たりするので、飛行機や長距離バス、電車などのチケットが非常に取りにくくなる時期です。旅行がこの時期に重なる場合は移動手段を早めに押さえておきましょう。

博物館などは断食祭1日目の午前中のみ閉館になり、13時には開館するところが大半ですから、大きな影響はないでしょう。ただしバザール系(グランドバザールやエジプシャンパザール)はバイラムの3日間、全てお休みとなるところがほとんどなので、要注意。2012年の断食祭は8月19日(日)、20日(月)、21日(火)となっています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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