木喰さんを知ってますか?
「木喰」と書いて、もくじきと読む。それをご存知の方は、以前はかなりの仏像通に限られていました。でも、このごろは人気が出てきて、ずいぶん広く知られるようになってきましたね。では「木喰と呼ばれる人物はひとりではない」ということを知っていますか? それをご存知の方は、相当な仏教通です。木喰とは木喰戒という修行のことで、それを行う僧侶は、皆、木喰僧です。その中で、微笑仏(みしょうぶつ)と呼ばれる独特の仏像を造ったのが、一般的に言われる木喰さんです。この「木喰さん」は、生涯に3度名前を変えており、木喰五行とか、木喰明満などと名乗っていました。
さらに、「木喰戒」とはどういう修行なのかご存知ですか? それを知っている方は、超がつくほどの仏教通です。この修行をする人には、たいへん厳しい食事制限があります。通常のお坊さんは肉や魚などの動物性食品が禁じられていますが、木喰戒では穀物も食べてはいけません。煮炊きしたものも禁じられるので、食べてよいのは、生の木の実や植物の根っこだけ。そこから、木を食べる=木喰という名称になりました。
何のためにこれをするか。ひとつは、もちろん、苦行を体験して精神を鍛えるため。もうひとつは、将来、即身仏となるために体内を浄化しておくという目的です。即身仏とは、簡単に言えば、生きたまま穴に入ってそのまま亡くなり、ミイラのような形で体を永遠に保つということです。即身仏は、山形県や新潟県のお寺でよく見られますが、それは、生前に木喰戒を行っていた人々なのです。