世界遺産/世界遺産関連ニュース

2011年新登録の世界遺産(4ページ目)

2011年6月の第35回世界遺産委員会で、日本の平泉や小笠原諸島をはじめとする25件の新世界遺産が誕生した。これで世界遺産総数は936件、うち日本の世界遺産は16件となった。今回は速報記事として世界遺産委員会の概要を紹介する。新世界遺産全リストつき!

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

新世界遺産全リスト 後編

毛越寺大泉が池

「平泉‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」に含まれている毛越寺の大泉が池

<自然遺産>
■小笠原諸島
Ogasawara Islands
日本、自然遺産(ix)
日本列島が大陸から分かれてできた島々であるのに対し、小笠原諸島は火山が隆起したことでできたもの。東京から約1,000km離れた亜熱帯域にあり、大陸や日本の影響を最小限にとどめた特異な生態系が展開している。固有種は100種以上におよび、樹木の7割、カタツムリに至っては9割以上が固有種といわれ、動植物の進化の様子をよく示している。また、絶滅危惧種も数多い。海にはクジラやイルカやウミガメ等の大型動物も多く、動植物の楽園として知られている。

■ニンガルー海岸
Ningaloo Coast
オーストラリア、自然遺産(vii)(x)
ニンガルー海岸はオーストラリア西海岸の沖合にある長さ250kmを超える巨大なサンゴ礁地帯で、海岸近接のサンゴ礁としては世界一の長さを誇る。サンゴは200種以上が確認されているほど層が厚く、ザトウクジラやジンベイザメ、ウミガメをはじめ数多くの海洋動物が集まる生命の宝庫でもある。海底は石灰岩を主するカルスト地形で、複雑な地形とたくさんの地下洞穴が独特な景観を築いている。

■グレートリフトバレーのケニア湖水システム
Kenya Lake System in the Great Rift Valley
ケニア、自然遺産(vii)(ix)(x)
現在もアフリカ大陸を左右に分けつつあるグレートリフトバレー(大地溝帯)にある3つの湖、エルメンテイタ湖、ナクル湖、ボゴリア湖からなる物件で、いずれも野鳥の宝庫となっている。特にフラミンゴの大生息地として知られており、湖畔を埋め尽くすフラミンゴによって湖がピンクに縁取られるほど。他にもクロサイ、キリン、チーター、ヒョウなどたくさんの大型ほ乳類が見られる。

<複合遺産>
■ワディ・ラム保護区
ワディ・ラム保護区

「ワディ・ラム保護区」の奇岩

Wadi Rum Protected Area
ヨルダン、文化遺産(iii)(v)、自然遺産(vii)
アラビア語でワディとは水のかれ果てた川の跡のこと。ワディ・ラムはサウジアラビアのルブ・アルハリ砂漠につながる荒涼とした大地で、砂漠の中に立ち上がる断崖や奇岩・洞穴の美しさから「月の谷」の異名をとる。古くから遊牧民族ベドウィンが住む土地でもあり、12,000年前にさかのぼる数多くの彫刻や岩絵が確認されている。アラビアのロレンスがこの地に隠れ住んでいたことでも有名だ。本物件は文化遺産と自然遺産、両方の普遍的価値が認められ、28件目の複合遺産に登録された。 

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