ゲーム業界ニュース/ゲームニュース講座

Wiiリモコンでゲームが失った何か(3ページ目)

Wiiというハードが世の中に登場したとき、ゲーム業界は大きく変化しました。ひと目見て多くの人が興味をもつ分かりやすさを獲得し、実際にゲームの画面と同じ動きで遊ぶことができることで、大変リアリティのあるものだと多くのメディアで取り上げられました。しかし、そのことに違和感を持つゲーマー達も、少なくありませんでした。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

使いこなして、新しい時代のゲームを

WiiUの図

ゲーマーとライトユーザーの両方の獲得を目指すWiiU。(イラスト 橋本モチチ)

ここまで読むと、結局ボタンを使えばいい、という結論に思えるかもしれませんが、ガイドはそうは考えていません。ゲーマーはボタンの方がいいんだと結論づけるのは簡単ですが、そこで止まってしまうと、ゲーム業界はどうしても閉塞していきます。広く世の中に驚きを与えて、今まで興味がなかった人、途中でゲームをやめてしまった人に、興味を持ってもらうのはとても難しくなります。

さらに言えば、ニンテンドー3DSや先日発表されたWiiU、PlayStation Vitaなどの次世代機を考えた時、ゲーム業界は加速度センサー、ジャイロセンサー、タッチパネルやマイクにカメラと、あらゆる使えそうなデバイスを最初からハードに搭載する流れになっています。現行機においても、PlayStation3はPlayStation move モーションコントローラー、Xbox 360はKinectというように、周辺機器で対応していくという姿勢で臨んでいます。デバイスを取り込むだけ取り込んで、結局ボタンだけで良かったでは、何をしているのか分かりませんね。

ゲーマーがボタンで遊んでいる時の没入感、想像力の広がり、そういうものを損なわずに、新しい仕組みを上手く取り込んで、そこに新鮮な感動や驚きを付加していくにはどうしたらいいのか、ゲーム業界はこの難しい課題に取り組まなくてはいけないタイミングに来ているように思います。大変に困難ではあるかもしれませんが、きっと不可能ではありません。申し上げた通り、Wiiのゲームの中にも、両立した作品はあったと思います。

それは、新しくユーザーとなった人たちを、より深い世界へ呼びこむステップを作ることでもあります。例えばWiiリモコンに興味を持って始めた人が、少しずつ色んなゲームに興味を持ち、いつの間にか自分にあったものを見つけてより深く関わるようになる、そういう流れを作らなければ、折角増えたゲーム人口は簡単にしぼんでしまいます。そのためには、ゲーマーはボタン、ライトユーザーはリモコンというようなはっきりした垣根は無い方がいいに決まっています。

WiiやDSで、ゲームは新しい操作方法を取り込み、今までゲームを遊んでいない人にも興味を持ってもらい、ゲーム人口を拡大しました。一方で、何か違う、ボタンの方が楽しいと思うゲーマーも少なくありませんでした。そして、ゲーム業界は今、よりたくさんのデバイスを縦横無尽に取り込んでいく道を選択しつつあります。

それは、大変な困難に取り組む険しい道のようにも感じられますし、さらにゲーム業界が拡大していくチャンスのようにも感じられます。新しいデバイスに振り回されてゲーム体験の臨場感が失われることなく、次の時代のゲームが続々と誕生していくことを、期待したいと思います。

【関連記事】
Wiiリモコンが直感的でない人たち(AllAboutゲーム業界ニュース)

WiiUとPSVitaは全然違うけど実は似ている(AllAboutゲーム業界ニュース)
イオナズンを撃ってみたい人へ(AllAboutゲーム業界ニュース)

【関連サイト】
田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)

【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で人気のゲームソフトを見るAmazon で人気のゲームソフトを見る
【編集部からのお知らせ】
・「都道府県のイメージ」について、アンケート(2024/5/31まで)を実施中です!(目安所要時間5分)

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※回答上限に達し次第、予定より早く回答を締め切る場合があります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます