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Wiiリモコンでゲームが失った何か(2ページ目)

Wiiというハードが世の中に登場したとき、ゲーム業界は大きく変化しました。ひと目見て多くの人が興味をもつ分かりやすさを獲得し、実際にゲームの画面と同じ動きで遊ぶことができることで、大変リアリティのあるものだと多くのメディアで取り上げられました。しかし、そのことに違和感を持つゲーマー達も、少なくありませんでした。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

操作している自分に気がつく

Wiiで遊ぶ図

実は、あまりゲームをしていない人の方が、そういうことを考えずに素直に遊べたりするかもしれません。

ボタンを押すのに比べると、Wiiリモコンというのはたいへんに分かりやすい装置でした。何しろ、Wiiリモコンをゴルフクラブのように振ればボールを打つことができ、剣にみたてて斬れば、画面の中のキャラクターも戦います。誰が見ても、何をしているのか一目瞭然で、多くの人の興味をひきます。

ところが、ゲームユーザーの中には違和感を感じる人も多くいました。今までボタンという、画面の中で起きていることと全く関係のない地味な操作で、自分が実際にやっていることと切り離してゲームの世界に没入していたのが、実際に自分がコントローラーを剣のように振ってみると、ゲームの中と、自分のやっていることの差に気がついてしまうことがあるんですね。テレビの中でかっこよく剣を振るキャラクターと、テレビの前でリモコンを一生懸命振っている自分の2者がいることを意識してしまうと、なかなかゲームの世界に入っていくことができません。

それまで繰り返しゲームで遊び、コントローラーを握るだけでゲームの世界に繋がるような感覚を持つことができるようになったコアユーザーであればあるほど、その違和感は強烈だったかもしれません。

ボタンというゲーム言語

レギンレイヴの図

レギンレイヴはWiiリモコンの魅力を最高に引き出した名作の1つ。

ボタンというのは、ゲームの短い歴史の中で、ユーザーとゲームの間で繰り返し使い込まれた言語のような側面があります。ユーザーがボタンを押し、ゲームがそれに反応を返す、ゲームユーザーというのはそのやりとりを何度も何度も繰り返し、親しんできました。

そこに、急にボタンではなく、リモコンを振ってゲームとやりとりをしなさいと言われると、言葉でしゃべっていたのがジェスチャーだけで会話しなければいけなくなったかのようなもどかしさがあります。結果、そのもどかしさが表現を散漫にし、ゲームの没入感を阻害することがあります。

Wiiリモコンを使えばそれだけでゲームが直感的になる、リアリティを持つ、そう単純に考えるのは、おそらく間違いです。それは、どんなゲームにどう使うのか、プレイヤーはどんな風にゲームと関わってきた人なのか、そういうことによって変わります。ボタンという言葉でゲームと関わってきた人にとっては、ボタンでプレイした方がはるかに自由なイメージの世界を楽しみやすい、それはきっと自然なことなんです。逆に言えば、そういう人にWiiリモコンの新しい体験を違和感なく楽しんでもらうには、よくよく考えなくては難しいということでもあります。

Wiiの中には、そういったことを見事に実現した作品ももちろんありました。例えば、任天堂から発売された斬撃のレギンレイヴは、まさにWiiリモコンを剣やハンマーのように振って遊ぶゲームでしたが、遊びこんでいくうちに、手に持っているリモコンが、大剣にも、魔法の杖にもなってくれるほど、ゲームの世界に引きこんでくれました。しかしそういったゲームの数は、必ずしも多くなかったように思います。

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そして今、ゲーム業界ではWiiリモコンだけではなく、多彩なデバイスでゲームが遊べるようになってきています。
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