日本では正直マイナー……だからお買い得!
気づけばこんなに値落ちしていて「おいしい!」という中古車をご紹介しているこの企画。今回はフォードフィエスタST、フォーカスST、モンデオST(いずれも絶版)のST3兄弟を取り上げたいと思います。STはスポーツ・テクノロジーの略ですが、要はWRCなどのレースで蓄積された技術を市販車に還元したモデルに対して付けられたのもで、開発を手がけたのはフォードのモータースポーツのエンジニア集団であるフォード・チームRS。ちなみにフォードといっても3台ともヨーロッパフォードで開発された車ですから、そもそもがアメリカ車のイメージは皆無な欧州車。そこに「レースの技術」がフィードバックされているわけで、いかにも「大人の車」なのです。「ドライビングの楽しさと興奮を味わい尽くせる性能」を目指して開発されたフィエスタST。ホットハッチの真骨頂をチームRSが切り開いた一台です。大人でも思わず興奮してしまう乗り味です
ボディはトヨタヴィッツ(現行)とほぼ同じ(ヴィッツより35mm長くて15mm幅が狭く、55mm低い)というコンパクトなボディながら、そこに2Lを搭載。ベース車が1.6Lで最高出力は100psなのに対し、こちらは150ps。しかも5MTのみ。いわゆるホットハッチです。2Lエンジンはモンデオにも搭載されていたものを、低回転域からトルクがあふれるよう専用チューン。また吸排気システムもスポーツ仕様のものに替えられています。5MTはクロスレシオ化され、0-100km/h加速は8.4秒、最高速度は205km/hを誇ります。足回りのセッティングには英国のカントリーロードやニュルブルックリンクのサーキットでもテスト走行を行って決めたのだとか。その結果サスペンションのスプリングレートやダンパーの減衰力、キャンバー角、ステアリングギア比などあらゆるところが改良されました。
フォーカスSTは専用の足回りによって、シャープなハンドリングとドライビングフィールがめざされました。ブレーキも強化されています。またWRカーのベース車両ということもあって、外観は3台中もっとも派手です
新車時価格は252万円(専用デカールが奢られて、ノーマルのSTより1インチ大きい17インチアルミを履くSTコンペティションは294万円)。それが原稿執筆時点では125万円(ST:2005年式/3.5万円/修復歴なし)から見つかります。見た目がそう派手ではないので(STコンペティションは派手ですが)、知らない人にはちょっとした奥様のオシャレなお買い物車に見えるかもしれませんが、実は走らせると相当楽しくホットな一台。スズキスイフト(旧型)が未だに人気ですが、それよりはお買い得感が高いと思います。
続いて、次ページでフォーカスSTとモンデオSTを見ていきましょう。