10分野の性能を第三者の評価機関がチェック
住宅性能表示制度は国が基準を定め、住宅の性能を等級などで表示できるようにした制度で、平成12年度からスタートしました。表示は義務ではありませんが、現在では着工される新築住宅の2割程度で採用されています。表示されるのは耐震性や省エネ性など10分野・34事項あり、第三者の性能評価機関が設計図や施工現場をチェックして評価書を交付する仕組みです。今のマンションはどの程度の性能がスタンダードなのか、評価機関で構成される一般社団法人住宅性能評価・表示協会がまとめた統計データから主な事項について見ていきましょう。
耐震等級は建築基準法レベルの等級1が9割
まず構造の強さを表示するのが「構造の安定」の分野です。なかでも耐震性に関する表示が耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)で、1~3の等級で表示されます。等級は数字が大きいほど性能が高いことを示し、等級1は建築基準法の耐震基準を満たすレベルです。等級1でも震度6強~7クラスの地震で建物が倒壊しない性能ですが、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の強さがあります。統計データによると、平成21年度に評価書(建設住宅性能評価書)の交付を受けたマンション(鉄筋コンクリート造の共同住宅、以下同)のうち、等級1が9割を占めています。等級2は3%強、等級3はゼロでした。また地震の揺れを免震装置で抑える免震建築物は1割弱となっています。
100年近く長持ちする劣化対策等級3が7割
建物の耐久性は「劣化の軽減」で表示され、マンションではコンクリートの厚さや強度がどの程度確保されているかなどによって劣化対策等級が決まります。等級1は建築基準法を満たすレベル、等級2はおおむね50~60年はもつレベル、等級3はおおむね75~90年の耐久性レベルです。統計データでは等級3が7割強で最も多く、等級2は2割強、等級1は6%弱となっています。今のマンションの多くは、通常の維持管理を行っていれば100年近くは長持ちすると考えてよいでしょう。