建物の構造級別は3段階
火災保険料は、対象となる建物の住所地だけでなく、建物の構造により異なります。その構造を振り分けるのが建物の「構造級別」で、具体的には3段階。この構造級別を定める規定は、建築基準法の基準に基づいて作られています。建物の防火上の性能の高さで分けられ、性能の高いほうからM構造、T構造、H構造となり、いちばん保険料の安いM構造から順に私たちの負担する保険料は高くなります。
住所が東京都で、建物1000万円あたりの年間保険料を比較してみましょう。「火災・破裂・爆発・落雷」を補償する場合、M構造は1200円と一番安く、T構造は1900円、H構造に至っては4600円と、M構造の約4倍、T構造の2倍以上にもなります。つまり、防火性能の高い建物であればあるほど、火災その他の災害による被害を受けにくいため、それを反映して保険料が安くなるわけです。家財だけの契約の場合も、それが収容されている建物の構造によって保険料が決まります。
木造住宅であっても保険料は2分の1に!「耐火建築物」「準耐火建物」「省令準耐火住宅」
該当するのは「耐火建築物」、「準耐火建築物」と「省令準耐火建物」。耐火建築物とは、建築基準法第2条第9号の2に定める耐火建築物をいい、準耐火建物とは、建築基準法第2条第9号の3に定める準耐火建築物で、その主要構造部を準耐火構造としたもの、または同等の準耐火性能を有する一定の技術的基準に適合するものであって、さらに所定の防火設備を有するもののことをいいます。
一方、省令準耐火構造の建物とは、「勤労者財産形成促進法施行令第36条第2項及び第3項の基準を定める省令(平成19年厚生労働省・国土交通省令第1号)」第1条第1項第1号ロ(2)に定める耐火性能を有する構造の建物として、独立行政法人住宅金融支援機構の定める仕様に合致するものまたは住宅金融支援機構の承認を得たもののことをいい、具体的には以下の通りです。
【ツーバイフォー工法(枠組壁工法)の建物で住宅金融支援機構の定める仕様に合致するもの】
機構の定める省令準耐火構造の仕様(枠組壁工法)
機構の定める省令準耐火構造の仕様(木造軸組工法)
【木質系プレハブ等の建物で、事前に住宅金融支援機構の承認を得たもの】
機構が承認したプレハブ住宅一覧
【木造軸組工法の建物で、住宅金融支援機構の定める仕様に合致するあるいは事前に住宅金融支援機構の承認を得たもの】
省令準耐火住宅として機構が承認した住宅または工法
なお、機構が承認したプレハブ住宅の中でも、省令準耐火構造の仕様に該当しないものもありますし、省令準耐火構造の仕様を有するものであっても、選択する仕様によっては必ずしも省令準耐火構造の住宅とならない場合もありますので、具体的なケースでは個別の確認が必要です。
上記に該当しない構造・仕様の木造住宅はすべてH構造となりますので、火災保険料はT構造に該当する省令準耐火住宅よりも高くなります。
T構造、地震保険料はマンションと同額!
一方、T構造の場合、地震保険料はさらに負担が軽くなり、マンションすなわちM構造と同額になります。
図で見ていただく通り、マンション建物等が該当するイ構造は、それ以外のロ構造の保険料のざっと半分。つまり、イ構造はロ構造よりも地震による被害を受けにくいと見積もられているわけです。同じ木造であっても、イ構造とロ構造では、長い目で見たコスト負担に大きな差が出てきます。
これは火災保険料や地震保険料だけに限る話ではありません。イザと言うときに被害を受けにくい、あるいは被害を最小化できる建物ほど、建物を維持・管理、さらに補修やメンテナンスなどなど、トータルでかかるコストは、長い目で見れば安上がりになることが多いようです。マイホームは、ほとんどの人が一生のお付き合いとなります。これからマイホームを入手するなら、こうしたことも踏まえて慎重に臨みたいところですね。
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