フレンチ/東京のレストラン

アンブローシア(新宿 京王プラザホテル)

リヤドロミュージアム展と現代フランス料理の饗宴が密かな人気を呼んでいる。「伝統」と「革新」が同居するアートと料理。この組み合わせが新しい味わいと感動を呼ぶ。5月31日

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

開業40周年を迎えて

1971年開業の京王プラザホテル。開業と同時に開店したメインダイニング、アンブローシアは名誉総料理長の緑川廣親氏の指揮の元、開業以来の伝統が脈々と引き継がれている。現在の料理長、佐藤進一氏に至るまで一貫した技術の継承はホテルならではか。レストラン運営の長期的視点、継続の大切さ、思い切った革新性など絶やすことなく活かされていることは特筆に価する。

京王プラザ

インテリア

京王プラザホテルはアートと食の融合を定期的に試み、館内の様々なジャンルのレストランとアートを組み合わせ、ホテルガストロノミーに心地良い付加価値をつけている。

5月31日(火)までの間、館内のギャラリー、レストランにおいてスペインのポーセリン・ブランド、リヤドロの作品が展示されている。特にアンブローシアで提供されるフランス料理と共に伝統とモダニズムを見ることができる。
リヤドロ

LOVE

街場のレストランやビストロにはないゆったりとした空間と安定した「味」。組織として食を動かすホテル内レストランの醍醐味はこの安定性とゆとりある空間の創造にある。開業した40年前では高層階にできた初めてのフランス料理店。連日大賑わいだったようだ。
シャンパーニュ

食事の前にはシャンパーニュを

取締役総料理長の市川エグゼクティブシェフの話は実に興味深い。「入社したのは開業2年目の時で、残念ながらその当時のメニューは残っていないのですが、ビーフステーキのグリーンペッパーステーキとかがありましたねえ」「一皿一皿出すような今のスタイルではなく、デクパージュといってお客様の目の前で肉を切り、取り分けるサービスだったんです。なので、ワゴンが通るスペースを用意したり、食器類も多く必要で、今思うとかなりたいへんでした」と懐かしそうに話す。日本の食材を使って、フランスでの経験を元にソースと格闘していた当時はきっと現代にはない燃え滾るエネルギーがあったことが想像できる。

さて、リヤドロとのマリアージュを実現する料理を見てみよう。
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