労務管理/労務リスク管理

会社・職場での災害予防対策経費

災害予防対策をしていくには、費用がかかります。予防対策には、多くの費用がかかりますが、中長期で見積もりをしておくことが大切です。自社建物なのか、賃貸建物なのかで費用が変わりますから、現状把握をしておきましょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

まずは、自社内建物・諸設備の現状把握をしましょう

まずは、自社内建物・諸設備の現状把握をしましょう

災害予防していくため、日頃から具体的な対策を見ていきましょう。対策をとっていくには経費がかかります。まずは自社で必要なものをピックアップしていきます。経費がかかってもかならず予算組みをしておくべきものが見えてくるはずです。

 

まずは自社建物の現状把握

自社所有の建物の場合、建物の建築時期により修繕計画を立てることが大切です。建物は毎年経年劣化していくので補修計画は欠かせません。この計画が、災害防止対策を含めた計画となっているかどうか検証してください。建物自体の修繕計画は中長期にわたります。いつ、どこを修繕するか、費用はいくら見積もっているかの検証です。

1.管理会社からの定期点検結果報告書の内容を把握する
自社従業員だけで定期的な設備点検を全て行うことは、現実的ではありません。管理専門会社などに業務委託していることも多いことでしょう。この場合、定期点検結果報告を受けていることと思います。報告書には、定期点検によって不備があった場合の指摘がありますが、緊急性の高い・低いの区別がわかりにくいことがあります。

修繕には費用がかかるため、しばらく様子をみるという判断で先延ばしとしていることも多いのも事実です。ここが落とし穴になっているのです。ガス、水道、電気などのライフライン、消防設備などを中心に、緊急度の高いものをまずピックアップすることです。

2.賃貸建物を借りている場合は、建物賃貸契約書の内容を確認する
建物などを借りている場合では、賃貸借契約書の内容がどうなっているかを確認してください。建物自体は所有者のものですが、諸設備になると借りる側の所有物となっていることもあります。空間を借り、設備は自分もちというイメージです。契約書に建物、諸設備の管理区分表が明記されていることが多いようです。

この場合、諸設備は自社で防災対策をしなければなりません。設備、什器備品の転倒防止処理など、緊急度の高いものから予算組みをします。

なお建物自体は、所有者によって定期点検がなされていることでしょう。借りている側で確認しておくべきことは、エレベーターの点検、避難器具、消防設備などの補修費用は、誰が負担するのかです。

企業内建物その他諸設備の具体的災害対策経費

災害対策の対象は建物の耐震補強工事、建物の看板等の落下防止対策、什器備品の転倒防止対策、火気使用設備の安全対策、火災報知器などの消防設備、エレベーター、水道・ガス・電気設備の安全対策、IT機器の安全対策等が挙げられます。企業の規模、業態によって内容が変わります。上記で負担区分を確認後、緊急度が高いものから行います。

緊急度の判断は、直接生命に影響を及ぼすような不具合解消が第一です。落下物、備品転倒処置等は、則対応しておきましょう。建物の工事以外は短期で完了するものが多く、膨大な費用がかかるものはそう多くはありません。

非常用備品の備え

非常用備品は、家庭での非常対策のイメージがありますが、企業でももちろん必要です。3日分程度の非常食、備品(毛布、タオル、ヘルメット、懐中電灯、雨具、使い捨てカイロ、マスク、救急箱、ポリタンク、炊き出し道具等)を、用意しておきます。経年劣化するものもありますので、数年単位による予算組みをしておきましょう。

<関連資料>
国税庁のホームページで、修繕費が経費となるかどうかの判定基準が載っています。建物を補強、修繕する際の参考としてください。

修繕費とならないものの判定(国税庁ホームページ)



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