初期フランドル派の傑作を所蔵する、グルーニング美術館
ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの『聖母の肖像を描くルカ』
煉瓦造りのファサードから美術館へ
メムリンク美術館、アーレンツハウス、グルートフーズ博物館など、ブルージュは重要な美術館や博物館が隣接しているため美術館巡りも大変便利。しかし、もしもこの町でたったひとつの美術館しか立ち寄る時間が残されていない時は、このグルーニング美術館をおすすめします。
こじんまりとした外観ながら、油絵の始祖とされるヤン・ファン・エイク(アイク)の作品群などで国際的な名声を誇る場所。壮大な西洋美術史を語る時に避けては通れない初期フランドル派を筆頭に、16世紀のマニエリスム絵画、18、19世紀の新古典主義、そして象徴主義や現代絵画にいたるまで、600年に渡る南ネーデルランドの絵画の歴史を一望できる国を代表する美術館となっています。
中庭は市民の散歩道に
美術館の宝といえばやはりファン・エイク作品。写実的な表現が斬新であったろう『ファン・デル・バールの聖母子』は忘れずに鑑賞しましょう。衣装や絨毯の肌触りまでこちらに伝わってきそうなほど。生まれながらに老成したような赤子の表情にも注目。他にもロヒール・ファン・デル・ウェイデンの『聖母の肖像を描くルカ』、ハンス・メムリンクの『ウィレム・モレールの三連祭壇画』などが有名です。メムリンクやヘラルド・ダヴィッドなど、ブルージュに移り住んで活躍した画家たちの作品も多く、彼らが愛した同じ場所に立ち、時を越えて作品を鑑賞できるのは嬉しい体験となるでしょう。
修道院跡に建つ趣きのある美術館
本美術館は1929年から1930年にかけて、アウグスティノ会修道院跡に建設。その後コレクションが増えたことで、1994年から95年にかけて隣り合うネオ・ゴシック様式の建物を加えスペースを広げました。とはいえ今も静寂な時が流れるベギン会修道院にほど近く、緑と平和を享受しながら慎ましい美しさをたたえる美術館なのです。
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Groeningemuseum(グルーニング美術館)
住所:Dijver 12 B-8000
TEL:+32 (0)5 044 87 11
開館時間:火~日曜9:30~17:00
入館料:大人8ユーロ、65歳以上6ユーロ、25歳以下1ユーロ