運転の仕方以前に燃費が悪くなりやすい状況を避けることが大切
前回の記事では、日常のちょっとしたメンテナンスや気遣いひとつで燃費の悪化を抑えられることを紹介しましたが、やはり何といっても燃費に大きく影響するのは運転の仕方です。燃費運転というと「ふわっとアクセル」とか「なんとかスタート」みたいな話がよく聞かれますが、実はそれ以前の問題として、燃費が悪くなりやすい運転状況を避けることが大切です。
燃費が悪くなりやすい運転としてまず挙げられるのが、短距離しか走らないいわゆる「ちょい乗り」です。始動直後のエンジンは、燃焼が不安定な状態にあります。そのため、エンジンを制御するCPUは、燃料を通常よりも多めに噴射することで、燃焼状態を安定させるようにコントロールしているのです。
年配のドライバーの方やかなり古めのクルマに乗られている方でしたら、冬場などでエンジンが十分に暖まる前に走り出そうとすると、エンジンの吹け上がりが鈍かったり、全然パワーが出ないというように感じたことがあるかと思います。そんなとき、チョークレバー(キャブ車や初期のインジェクション車にも付いていたアレです)を引いてやると、少しエンジンの調子が戻って、何とか普通に走れるくらいにはなったのでは?
このチョークは、エンジンに供給する燃料の量を手動で増やす装置で、今はそれをクルマが自動で行ってくれているわけです。いずれにしても、エンジンが暖まって安定してくるまでの間というのは、余計に燃料を噴射している分、非常に燃費が悪いのです。気温や走り方にもよりますが、エンジンが完全に温まるまでには、およそ10~20分は掛かると考えていいでしょう。
つまり、走行時間が10分にも満たないような短時間の運転では、ずっと燃料を多く噴射しながら走り続けているわけですから、どうしても燃費は悪くなってしまうのです。そのため、短距離の走行はなるべく控えることがまずは燃費の悪化を抑える第一のポイントとなります。
エンジンが冷えていると燃費が悪くなるのなら、しっかり暖機を行ってから走り出せばいいのでは? というとそれも逆効果です。アイドリングをさせて止まっているだけでも、燃料は使い続けているわけですから、実は暖機運転というのは全くのガソリンの無駄遣いです。今どきのクルマであれば、エンジンが冷えている状態でも問題なく走れるようにCPUが制御してくれているのですから、エンジンを掛けてすぐに走り出しても大丈夫です。
ただ、走り出した直後は、エンジンはもちろん、駆動系やシャシーなども冷えた状態ですから、いきなり全開で飛ばすのではなく、しばらくは速度やエンジン回転数を控え目にしてクルマを十分に暖めるように心掛けるといいでしょう。
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