日本酒/酒造、酒蔵訪問

世界でも注目の純米酒蔵「梵(Born)」、蔵リポート(2ページ目)

未曾有の被害に見舞われた東日本大震災。復興の道をすすむ私たちに、まさに力を与えてくれる清酒がある。その名も、新たな誕生と創造を意味する「梵」Bornだ。福井県鯖江市の蔵元を訪ねた。その個性的な造りと蔵の信念をご紹介しよう。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

栄光の歴史

写真

昭和天皇後大典の儀の際の写真を前に語る11代目加藤団秀当主

もともと両替商を営むこの地の庄屋であった加藤家。年貢の米で酒を造って還元していた。

1860年、桜田門外の変の年。まさに日本の政治と経済が大変革を迎えた年に酒屋を始めた。

現在、加藤吉平(きちべえ)商店11代目。酒屋としては6代目になる。

お軸

掛け軸は、福井藩主松平春嶽公のもの

福井県鯖江市吉江町はかの近松門左衛門が15歳まで過ごした「杉本家」がある地。米と水が良いことから、数件の酒屋があったが今はここ1軒のみ。

大正から昭和にかけて北陸清酒鑑評会にて4年連続最優秀賞をもらっていたことから、昭和天皇御大典の儀(御即位)の際、地方選酒の御用酒に選ばれるという名誉を受けた。当時の新聞には「頭に上り二日酔せざるが特徴」という印象的なキャッチコピーも残っている(そんなに二日酔いする酒があったのだろうか)。そのおかげで今も引き続き宮内庁と外務省御用達の酒である。

書

こちらは越前の歌人、橘曙覧(たちばなあけみ)のもの

ちなみに当時は「吟醸酒」ではなく「吟造酒」と呼ばれていた。“吟味して醸す”、“吟味して造る”酒の歴史は、この加藤吉平商店、とても古いのだ。

メインアイテム「越の井」の中で一番いい酒を「梵」としていたが、昭和38年、すべてを「梵」に統一。昭和41年に商標登録をした。今や世界99カ国にて正式商標登録し、2011年3月時点でさらに10カ国に申請中である。日本食のグローバル化の波に乗り、現在38カ国に輸出している。最近は、スリランカ、ボスニア、アゼルバイジャンにまで「日本の米の酒」を届けているという。

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