“美しく清々しい”……そんな言葉を舞台姿から、また演技から与えられます。瞳の表情がとても豊かな人。“白”も“黒”も魅力的。大きなコスチュームもシンプルなスーツも似合う。“素敵な大人の女性”までもを感じさせる真飛 聖さん。
初舞台から10年間、真飛さんは星組で過ごしました。
和物の多かった星組での度重なる経験は勉強になったことでしょう。研5で『我が愛は山の彼方に』新人公演の初主役。バウ単独初主演の『花のいそぎ』での気品のある美しさは評判となりました。
「下級生の頃は苦手だった…」と自身が語る芝居の演技の飛躍は凄まじく、中でも、男役スターでありながら挑戦した『雨に唄えば』のリナは強烈でした。甲高い声で歌いしゃべりまくるそれを、キュートなリナちゃんに仕上げたのはさすが。
また2004年からANAのイメージキャラクターも務めていました。
花組に組替えとなり二番手として活躍後、『メランコリック・ジゴロ』『ラブ・シンフォニーII』(中日劇場)よりトップスターに。
正統派と言われる役、宝塚の十八番『ベルサイユのばら』の外伝を二度も主演する中、宝塚内外で大きく話題になる作品にも取り組み、自身の、また宝塚歌劇の新生面を切り開きました。
ストーリー同様、壮大な演技を見せてくれた『太王四神記』 のタムドクでは宝塚初演を見事成功させ、『相棒』の杉下右京では「宝塚でこんな芝居が? トップスターがこんな役を?」といった意外性と新鮮さを教えてくれ
『虞美人』の項羽、『麗しのサブリナ』のライナス、『愛のプレリュード』のフレディでの大きさ、広さはこの人ならではのもの。
凛とした中にも色香が強く、深みのある声は優しさをより増し、魅惑的な男を創り上げました。
最高のショーマンでもあり、ショーで代表作を創り上げたのも特筆すべきところ。
ショーの再演自体珍しく、それが、ほぼ同じメンバーと内容で本公演で再演されるというのはまずないことなのですが、好評のあまりそれをやってのけたのが『EXCITER!!』。
パワフルでセクシーでカッコイイ“真飛 聖”と、ダメダメだけど憎めない“Mr.YU”。真飛さん率いる花組みんなの魅力が詰まった楽しいショーでした。
舞台人というものはみな貪欲で「もっとこうしたい」「明日はこうやりたい」ともがくものですが、真飛さんの舞台は、陰でのもがきを一切感じさせることなく、雲ひとつない快晴。思う存分楽しませてくれました。
思えばそれは、そこに“真飛 聖”が居たのではなく“役そのものの人物”がいたからでしょう。