『虞美人』とは

この春、宝塚歌劇団の名作の一つ『虞美人』が、花組・真飛 聖さん主演にて再演されます。

紀元前3世紀。秦の始皇帝亡き後の、誰もが天下を取ろうとしていた動乱の世を背景に、楚の武将・項羽と、漢の武将・劉邦の戦い、項羽と虞美人との愛を描いたミュージカルです。

初演は1951年(昭和26年)の星組公演でした。
原作は長與善郎氏の戯曲『項羽と劉邦』。そして『パリゼット』『花詩集』でも知られる白井鐵造氏が脚本と演出を担当。
またこの『虞美人』が、宝塚歌劇初めての一本立て作品でもありました。

第二次世界大戦終戦後間もない、東京宝塚劇場はまだ連合軍に接収されたまま…といった頃。
そんな時代『虞美人』は、4000人収容できる宝塚大劇場を満員にしました。

主役の項羽演じる春日野八千代さんと、劉邦演じる神代錦さんが本物の馬に乗って登場するプロローグに始まり、豪華絢爛で壮大な場面が並ぶ、まさにグランド・レビュー。
たくさんの登場人物も個性的で魅力的。

あまりの人気に、翌月の月組も、その翌月の花組も続演となり、異例の三ヶ月ロングラン。観客動員数30万3千人。

創立者・小林一三翁の「東京宝塚劇場再開の折にはぜひ『虞美人』を…」との希望通り、1955年(昭和30年)東京宝塚劇場再開の最初の作品も星組による『虞美人』でした。

1974年、宝塚歌劇団創立60周年の記念公演として、星組と花組により約20年ぶりに再演。主演は鳳 蘭さんと安奈 淳さん。この時は一本立てではなく二本立て。『ベルサイユのばら』初演の数ヶ月前でした。
そして初演からの観客動員数は延べ94万人となりました。

初演はもちろん再演もご存じない宝塚ファンの方は多いでしょう。でも「馬が登場した!」etcのエピソードや、主題歌「赤いけしの花」は聞き覚えのあるという方も多いのでは? それほどこの作品や主題歌が語り継がれてきた証拠なのでしょうね。


“グランド・レビュー『虞美人』”から“ミュージカル『虞美人』”となる2010年『虞美人』。脚本・演出は『王家に捧ぐ歌』の木村信司氏が担当します。
脚本・演出をはじめすべてリメイクされますが、音楽「赤いけしの花」と「愛々愛」のみは使用するそうです。

主役、項羽を演じるのは花組トップスター・真飛 聖さん。劉邦は壮 一帆さん。そしてタイトルロールでもあるヒロイン、虞美人を演じる桜乃彩音さんは、これが退団公演となります。


と……話題満載の『虞美人』ですが、あまりの大作の伝説にとらわれることなく、今の時代だからこその演出、今の花組の魅力に溢れた『虞美人』を楽しみたいですね。サブ・タイトルの「新たなる伝説」の通り、新しい『虞美人』伝説が誕生することでしょう。

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