生徒(タカラジェンヌ)が「お父ちゃん!」と呼ぶのは、生徒監という立場の人です。
生徒監のお父ちゃんは、各組に1名ずついます。

このお父ちゃんは元々宝塚歌劇団の人間ではありません。阪急電鉄を定年まで勤め上げた人、それも、大きな駅の駅長さんなどの役職に就いていた人の中から選ばれます。真面目で品行方正。生徒監にふさわしい人が選ばれるのです。
男性が聞けば「最高の天下り!」と思われるでしょうね。

でも、お父ちゃんの仕事は“生徒を監督する”に留まらず実に大変。
生徒が舞台に専念できるように動いてくれるマネージャーや付き人のような役目であったり、外部と生徒の架け橋になってくれたりと、常に生徒のそばで生徒のために動いているのです。

例えば……

●生徒の出席チェック
全員が稽古場入り、楽屋入りしているかを着到板でチェック。遅いと……お父ちゃんに叱られます。
初舞台の時、この着到板に芸名を書いてくれるのもお父ちゃん。

●急病や怪我の場合
稽古場や本番中に急病や怪我をした場合、お医者さんに連絡をし付き添ってくれるのはお父ちゃんです。

●チケットの手配
生徒席の申し込み、そして受け取りはお父ちゃん経由。もの凄い数の生徒席の整理や管理はさぞ大変なことでしょう。
「急にチケットが欲しい!」という時も、お父ちゃんに頼めば、買いに走ってくれる場合もあったり。

●ファンレターや差し入れの整理や配布
劇団や劇場に届いたファンレターやプレゼント、各生徒の手に配るのは最下級生ですが、それぞれ区分けして最下級生に渡してくれるのはお父ちゃん。
毎日たくさんのファンレターや差し入れを整理し、あちこち運んでいるのです。

●地方への同行
全国ツアーや地方での公演にも、さながら添乗員のごとくお父ちゃんは同行。
もし、地方先で急病になった場合、それが真夜中でも寝ているお父ちゃんを起こして頼ることになります。