趣味の領域に留めておくのがもったいない
1810年に製鋼所としてスタートしたプジョー、1889年には初の自動車を世に送りだした。1976年にはシトロエン社を吸収、PSAプジョー・シトロエン社が誕生している。日本でも大ヒットしたコンパクトハッチの206(写真)は、2005年にブランド記録となる540万7000台の生産台数を記録した
“プジョーってペッパーミルや自転車も作っているよね”と仰る方も多いだろうが、実はそちらの方が事業として古かったりするから面白い。大雑把に言うと、鉄の加工から歯車や骨格を創り出し、それが自転車、さらには自動車へと発展した、というのがプジョーの歴史なのだった。
言ってみれば、基礎技術を独自の着想力と強い探究心でもって応用することに長けた会社である。古参ブランドだけあって、自動車の歴史にも数多くのエポックを残しているし、もちろんモータースポーツにおいても幾多の伝説を重ねてきた。クルマ好きならば、ラリーフィールドやル・マン24時間レースにおける活躍などが、特に印象深く記憶に残っているはずだ。
プジョーのヨーロッパにおける位置づけは、フォルクスワーゲンや独フォード、ルノーに次ぐ大衆車ブランドで、その後にオペルやシトロエン、フィアットが続く。日本では、まだまだマニアックな印象の強いフランス車だけれども、欧州の乗用車市場ではプジョーシトロエンとPSAとルノーグループ(日産を除く)を併せると、トップのフォルクスワーゲングループ(アウディなどを含む)を凌ぐ勢力を誇るもの。
要するにプジョーもシトロエンもルノーも、自動車を日本人より合理的に選ぶヨーロッパ人に、ドイツ車同様“よくできた実用車”として受け入れられているというわけ。この事実を知れば、フランス車を趣味の領域に留めておくことが、いかに“もったいない”ことであるかが分かるだろう。
日本に浸透した“洒落た日用品”
国内ではコンパクトクラスの207とミドルクラスの308に用意されたハッチバック、SW(ワゴン)、CC(オープン)に加え、クロスオーバーモデルの3008、スポーティなクーペのRCZ(写真)をラインナップ
平凡な毎日に、ちょっとした変化を付けてみたい。そういうニーズに応えられるのが、実はプジョーの大きな魅力である。