あらかじめ業者の事情を知っておこう
得意分野の商品やサービスを売りたいのが多くの業者の本音です
業者には、それぞれ得意分野があります。そして、その得意分野が収益源となっています。多くの企業が販促についての相談や依頼を行う、代表的な5つの業者について見てみましょう。
- 制作会社……Webサイトやチラシなどを作るのが主たる仕事で、メインの収益源はデザインの制作代金
- 印刷会社……チラシやカタログなどを印刷するのが主たる仕事で、メインの収益源は印刷代金
- 広告代理店……さまざまな広告を手配するのが主たる仕事で、メインの収益源は広告の取次料
- システム会社……顧客管理や営業支援を行うシステム開発が主たる仕事で、メインの収益源は開発代金
- SEO対策会社……検索エンジンでの表示順位を上げるのが主たる仕事で、メインの収益源は表示順位に基づいた成果報酬
こうして並べてみるとわかりやすいのですが、いずれの業者もクライアントの売上や利益率を高めることは主たる仕事ではありません。
もちろん、多くの業者は誠意を持ってそれぞれの得意分野でサービスを提供しています。しかしながら業者自身が会社として営利を追求する限り、自社の得意とする分野のサービスを少しでも多く利用してもらう必要があり、自社の不得意な別のサービスのほうが効果があることを知っていたとしても、クライアントにはあまり勧めたくないことはご理解いただけるのではないでしょうか。
自社にとっての良い業者を見つけるためには、このような業者側の事情を理解したうえで、各社の意見を取捨選択しながらバランスの取れた販促計画を立てることが必要となります。
「悪い業者」が行うよくある手口
「悪い業者」の口車に乗ると、貴重な宣伝販促費をドブに捨てることになります
私のもとに寄せられた相談や、実際の業務のなかで見聞きしたもののなかから、実際にあった「悪い業者」の手口をいくつかご紹介します。
■悪い制作会社/悪いシステム会社
【業者のセールストーク】
「無料(または格安)でホームページを作ります。月々の管理料もごくわずか。社内で簡単に更新作業ができるソフトも付いているので安心です。もちろん、ホームページへの集客施策などのサポートもおまかせください」
【実態・結果】
できあがったWebサイトは、既存のテンプレートに押し込んだだけの貧弱な作り。依頼した時点で、数百万円のリース契約を組むことになる。Webサイトは通常、リース契約の対象物件とならないため、数万円のノートパソコンや住所録系のソフト、Webサイトを更新するためのソフトなどのいずれかを対象物件として、リース契約を締結。Webサイトの完成後、約束していたサポートは一切提供されない。クレームをつけても「契約書に書いていない」と突っぱねられてしまう。
【ガイドからの注意点】
Webサイトに限らず、成果に繋がりやすい販促ツールを作るためには、多くの専門家がノウハウと時間をつぎ込む必要があり、それを無料や格安で提供することは事実上無理があります。「安物買いの銭失い」で済むならともかく、油断すると「高物買いの銭失い」になってしまいます。
話がうますぎるときは、何か裏がないか、じっくりと検討しましょう。
■悪い広告代理店
【業者のセールストーク】
「テレビ広告の訴求力は、やっぱり絶大です。まず知名度を上げないことには始まらないので、テレビ広告に力を入れましょう」
【実態・結果】
新商品の宣伝販促費として確保していた予算、3,000万円の大半をテレビ広告費に充当。テレビ広告としては少額予算のため、制作されたCM内容はチープなものになり、テレビで実際に放映される回数も少ない。テレビ広告で関心を持ってくれる人の受け皿となる仕組みもまったく準備していないため、「テレビ広告を実施した」という事実しか残らない。
【ガイドからの注意点】
テレビ広告を行うだけで商品やサービスが売れるといったことは滅多にありません。Webサイトやキャンペーンなどと連動させることで、相乗効果を上げることが大切です。また、まとまった予算が取れない場合はマス広告を使わず、費用対効果に優れた販促を考えましょう。
■悪い印刷会社
【業者のセールストーク】
「今も昔も、販促と言ったら折り込みチラシです。制作から新聞への折り込み手配まで一式請け負いますから、お客様にお手間をかけません。頻繁に配布すればするほど、印象に残りやすくなりますよ」
【実態・結果】
クライアントに言われたままの情報を羅列しただけで、商品のポイントやベネフィットがわかりにくいチラシが完成。印刷費を稼ぐことを目的に、同じエリアで同じ内容のチラシを頻繁に折り込むため、エンドユーザーに「しつこい」といった悪印象を与えてしまう。
【ガイドからの注意点】
チラシはうまく使うと即効性の高いツールとなりますが、同じ内容のものを狭いエリアで何回も配布するのは逆効果になることもあります。
同じ内容のものを配布するときは配布エリアを変える、配布エリアを変えない場合はチラシの内容を変えるなど、工夫を凝らしてエンドユーザーに悪印象を与えないように気をつけましょう。