キリスト教カトリックの総本山、聖地バチカン
左がカトリックの象徴、サン・ピエトロ大聖堂。東西約210m、南北約160m、高さ約130mの十字架型で、大聖堂としては世界最大級を誇る
今回はカトリックの総本山、世界遺産「バチカン市国」をご案内する。
ローマ教皇庁とサン・ピエトロ大聖堂
サン・ピエトロ大聖堂の壮大な内部空間。カトリックの総本山だけあって荘厳・重厚で神々しい
ノートルダム大聖堂、アミアン大聖堂、シャルトル大聖堂、ケルン大聖堂、アーヘン大聖堂……世界には数多くの大聖堂がある。その内部は神=光の美しい演出にあふれ、信者たちの祈りと合わさって、とても神々しい雰囲気をかもし出している。
サン・ピエトロ大聖堂に設けられた『聖ペテロの司教座』。ペテロの意志を継ぐ者=教皇が座る椅子であり、教皇庁の権威を表す法王聖座 "Holy See" の象徴でもある
そして各地の司教をまとめ、カトリック信者10億人を束ねるのがバチカンのローマ教皇庁で、その頂点に君臨するのが「教皇(法王)」だ。この教皇が座る椅子が「聖ペテロの司教座」で、この椅子はカトリックの首席教会堂であるサン・ピエトロ大聖堂に収められている。
■バチカン市国(Googleマップ)
バチカンと教皇の歴史
サン・ピエトロ大聖堂正面に立つ聖ペテロ像。手に持つのはイエスより授かった「天国の鍵」で、ペテロの跡を継ぐ教皇の権力の根拠となっている
イエス・キリストが亡くなったあと、使徒ペテロはキリスト教が迫害されるなか、その中心地であるローマ帝国の首都ローマを訪れて宣教を行う。ネロ帝の迫害を受けて現在サン・ピエトロ広場がある辺りで逆さ十字にかけられ殉教してしまうが、ペテロの遺志は「イエスの代理を務める者」であるところの教皇(法王)に引き継がれていく。
バチカン国旗。描かれているのは金銀二種の天国の鍵と、天・地・冥界の三界の権威を示す三重冠。正式には縦横比は1対1となる
やがて教会堂の周囲に修道院や宮殿が建てられると教皇庁はこの地を中心に繁栄し、やがて教皇領という領土を持つようになり、国家としてふるまうようになる。これがバチカンだ。この名前は先の丘の名前・ヴァティカヌスに由来する。