住宅リフォーム/住宅性能向上リフォーム[断熱、結露・湿気対策、防犯]

断熱リフォームの事例とポイント、住みながら簡単工事

家の断熱リフォームの事例と、費用の目安、しっかりと効果が感じられるリフォームにする成功のポイントをご紹介します。屋根裏、窓、床下の断熱工事はとても簡単!住みながらたった1日で完了します。寒い冬を暖かく、暑い夏を涼しく過ごせるようになるのはもちろん、光熱費が安くなるメリットもあります。(2017年改訂版、初出:2011年4月)

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

屋根裏、窓、床下の断熱リフォームのメリットは?

断熱性能が低い家

築年数が古い家は断熱性能が低いため、外気の影響を受けやすく家の中が寒い。

家の快適度は断熱性能に大きく左右されます。断熱性能とは簡単に言えばポットの保温力のようなもの。性能が高い家は、外の気温の影響を受けにくいため、小さなエネルギーで室内を快適に保つことができます。

しかし、築年数が古い家は断熱性能が低いため、外気の影響を受けやすく、冬になると暖房をつけている部屋だけは暖かいけれども他の部屋は外と同じくらい寒い、暖房がついている部屋でも窓際や足元が冷える、暑い夏にエアコンが効き難い、窓や壁に結露が発生する、光熱費が高いと言った状況になりがちです。

住まいを快適にする近道は、リフォームで断熱性能を向上させることです。断熱リフォームのメリットは、意外に簡単な工事なのにもかかわらず、暑さ寒さ、結露などを防ぎ、また光熱費の削減が期待できるところにあります。

効率よく断熱リフォームを行うコツは、夏の暑さは屋根裏と窓、冬の寒さは床下と窓を中心に対策することです。そこで今回は、工期はたった1日!住みながら簡単にできる屋根裏、床下、窓の断熱リフォームの事例と成功のポイントをご紹介します。

屋根裏に潜り、吹き付けるだけの断熱リフォーム事例

夏になると1階より2階が暑い家は、屋根裏に断熱リフォームをすると、暑さが和らぎます。2階の暑さの主な原因は、夏の強い直射日光で熱せられた屋根からの輻射熱です。熱くなった屋根から放射された熱はじわじわと降りてきて、断熱されていない真夏の屋根裏の気温は50度を超えることもあります。これでは頭の上に熱気球を抱えているような状況ですから、暑くて当然です。

屋根裏の断熱リフォーム前

築30年、屋根裏の断熱リフォーム前。屋根裏は真夏には50度を超えることも。頭の上に熱気球を抱えているような状況。


屋根裏の断熱リフォーム後

断熱リフォーム後。現場発泡タイプの断熱材を吹き付けた様子。スキマ無く膨らむので気密性も上がり、2階が涼しくなる(アイシネン


上の写真は、屋根裏の断熱リフォーム事例です。吹き付けるだけであっという間にモコモコと膨らむカナダ生まれの現場発泡タイプの断熱材です。

屋根裏に潜って吹き付ける工事なので、住みながら1日で完了します。スキマを埋めるように膨らむので気密性も上がり、耐湿性が高いので結露やカビの心配が少ないのが特徴です。断熱リフォーム前は50度を超えていた真夏の屋根裏の温度が、吹き付け後には20度下がり、ほぼ1階と同程度になったというデータもあります。(※アイシネン調べによる)

ただし屋根裏断熱は屋根裏を室内と考えた断熱計画です。他に天井断熱などの方法もあり、家の構造によって方法は異なりますので、まずは専門家に見てもらうようにしましょう。屋根裏を現場発泡タイプの断熱材でリフォームした場合の費用は、吹き付ける断熱材の材質や厚み、面積により異なりますが、30万円程度~が目安です。

床下に潜り、取り付けるだけの断熱リフォーム事例

冬に足元が寒い、特に北側の部屋や廊下、洗面所などが外と変わらないほど寒いと言ったような場合は、床下の断熱リフォームが効果的です。下の写真は床下に断熱材を入れるリフォームの様子です。床下に潜って取り付けるだけなので工事はとても簡単、約1日で完了します。寒い北側の部屋や廊下なども冷えにくくなり、室内の暖房効果が上がります。

床下の断熱リフォーム例

床下に潜って入れるだけの断熱リフォームもある。工事はとても簡単で、冬の足元が冷えにくくなる効果がある(フクビ化学工業


床下の断熱リフォームの費用の目安は、20万円程度~が目安です。ただし面積によって費用は異なり、また家の作りによっては床下に潜れない場合もありますので、事前に床下を調査してもらい、見積もりを出してもらうようにしましょう。

暑さ寒さの両方を制するのが窓の断熱リフォーム

家の断熱において一番の弱点となっているのは窓です。省エネで快適な家にするためには、窓の断熱性能を向上させるリフォームが欠かせません。

下記のデータは平成4年の省エネ基準で建てられた住宅モデルにおける「熱の流出入の割合」です。冬は開口部からの出入りが48%、夏は71%と、非常に高い割合であることがわかります。この時代の基準では、多くの地域で窓は1枚ガラスでした。

窓から出る熱量

開口部からの熱の流出入は多い。断熱リフォームにおいて窓対策は重要。 [数値データ/(社)日本建材産業協会 省エネルギー建材普及センター・画像/LIXIL]


窓の断熱リフォームの方法には、内窓を取り付ける、窓ガラスを高性能ガラスへ交換する、サッシ本体を高性能サッシへ交換するなどの方法があります。中でも簡単にできるのが、内窓の取り付けとガラス交換リフォームです。

リフォーム用エコガラス

リフォーム用エコガラス。高遮熱・断熱・省エネ・結露防止・紫外線カットに有効なLow-E複層ガラスに簡単に交換できる(ペヤプラス/旭硝子


上はリフォーム用エコガラスの写真です。サッシはそのままで、ガラスをアタッチメント付きエコガラスに交換するだけなので工事はとても簡単、掛かる時間は1箇所30分~1時間程度です。もちろん住みながら工事ができます。

エコガラスとは、旭硝子(株)、日本板硝子(株)、セントラル硝子(株)の3社が製造するLow-E複層ガラスの共通呼称です。Low-E複層ガラスとは、2枚ガラスの間に特殊な金属膜が入っていて、断熱だけでなく遮熱効果も持った高性能ガラスです。

窓のリフォームを検討する際、夏の暑さは断熱だけでは防ぐことができません。断熱とは熱が伝わらないようにすることですが、夏を涼しくするためには太陽からの日射熱を防ぐことにあり、遮熱をすることが肝心です。

ゴーヤなどを植える緑のカーテンやオーニング、庇(ひさし)なども日差しを遮って遮熱することで家の中を涼しくする効果があります。断熱が効果を発揮するのは主に冬、夏は遮熱対策を中心に考えると快適な住まいづくりができます。

内窓

内窓の取り付けは一か所1~2時間程度で、断熱、防音、結露防止の効果が期待できる(三協アルミ


窓の断熱性能を上げると、結露も解消できます。ただしアルミサッシの場合は、ガラスだけでなく枠にも結露が起きていることがあり、ガラスの交換だけではアルミ部の結露は防ぐことはできません。そのような場合は、内窓の取り付けか、窓ごと高性能の断熱サッシに交換リフォームするといいでしょう。

健康にも役立つ断熱リフォーム、一戸建てだけでなくマンションも快適に

断熱リフォームは地味ですが、生活に密着した効果が高いリフォームです。夏涼しく冬暖かく暮らせるので快適になるのはもちろん、冷暖房費が節約でき、また部屋の温度差が少なくなるので、家庭内事故で多いヒートショック現象を防ぐ効果も期待できます。

一戸建てだけでなく、マンションのリフォームの際も、外壁に面した壁面や最上階の天井、最下階の床に断熱リフォームを施すと、室内が格段に快適になります。

また断熱リフォームは省エネにつながることから、減税制度や助成金制度が充実しています。リフォームの際には、制度の確認を行い、上手に利用しながら進めましょう。

ただし断熱リフォームには技術が必要です。むやみに断熱材を入れると、内部結露を起こして家を腐食させたり、カビの原因になったりすることもあります。信頼のおけるリフォーム会社に依頼するようにしましょう。

ガラスなどの交換をしなくても窓の断熱性能を向上させる簡単リフォームについては、下記で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
断熱性能が低い家は健康被害が起きやすい家です。対策方法は下記でご紹介しています。
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