暖房しているリビングや寝室は暖かいけれど、浴室や廊下、トイレは寒いという家は要注意です。身体に大きな負担が掛かるヒートショック現象を起こしやすい状況にあります。対策の鍵は、家の中の温度差を無くすよう断熱リフォームをしておくことにあります。

ヒートショックの死亡者は17,000人、主に浴室で発生

寒い風呂場

年間で約17,000人が、ヒートショックで急死していると推計されている。主に浴室で発生している。

ヒートショック現象とは、急激な温度差に身体がさらされることで、血圧や脈拍が大きく変動し、体調を崩す現象のことです。

ヒートショック現象は主に浴室で発生しています。寒い冬の日に、冷え切った浴室で急に熱いお湯につかることで急激な体調変化を引き起こし、中には気分が悪くなってそのまま気を失い、溺水するケースも少なくありません。

現在、年間約17,000人の人が、ヒートショックにより家庭内で急死していると推測されています。また脳卒中や心筋梗塞を引き起こすため、寝たきりの原因のひとつにもなっています。

17,000人と言ってもなかなかぴんときませんが、2015年の交通事故での死亡者数が約4,100人であることを考えると、いかに多いかがわかります。数字だけ見れば、道路を歩いているより家の中にいるほうが4倍以上も危険ということになります。特に浴室が寒い家は要注意です。これから健康に暮らし続けるためにも、できるだけ早く対策しておきましょう。

 

昔の日本の家は暖房から離れれば寒いのが当たり前だった

和室

昔の日本の民家は夏に涼しく、冬は寒いつくりになっていた。

ヒートショックを引き起こす主な要因は温度差です。浴室だけでなく、暖かい部屋からいきなり寒い部屋に移動することによっても起こす可能性があります。

実はこれは日本の家ならではの問題点です。日本の盛夏は高温多湿のため、昔の民家は夏に涼しくあるよう工夫がされてきました。冬は火を焚けば暖を取れますが、夏を涼しくする技術は当時はありませんから、食中毒や疫病を防ぐためにも、家の中を涼しく保つ必要がありました。

また江戸においては火災が多かったこともあり、民家はすぐに壊して建てられるよう軽微な作りになっていました。土台と柱、梁で組んだ骨組みに、障子やふすまで間仕切った家は、夏は涼しく過ごすことができたのですが、冬はスキマ風が吹く寒い家でした。

そのような日本の民家では、寒い冬を過ごすのに、部屋の空気を暖めるという発想は生まれませんでした。ヨーロッパなどの石造りの家では暖炉で部屋を暖めましたが、日本では火鉢、コタツなどで身体を直接温める輻射熱暖房が普及しました。

熱源で身体を直接温め、火元から離れれば外と同じように寒い、大きな温度差があるのが日本の家では当たり前の暮らし方だったのです。

 

ヒートショック対策の鍵となる断熱リフォームで温度差を無くす

廊下

暖房していない浴室や廊下、トイレが寒い家は要注意。温度差がヒートショックの原因に。

その後、日本の住環境は大きく進歩しました。しかし多くの家では部屋ごとに暖める個別暖房が主であり、また築年数が古い家は断熱性能が低いため、暖房している部屋は暖くても、それ以外は外気と変わらないほど寒いという状況があります。

ヒートショック対策の鍵となるのが、この家の中の温度差を軽減する断熱リフォームです。断熱性能とは、簡単に言えば魔法瓶の性能のようなものです。

断熱性能を上げるリフォームをすれば、外気の影響を受け難くなるので、暖房をしていない部屋の寒さを軽減し、家の中を暖かく保ちやすくなります。また暖房効率が上がるので、光熱費の心配をすることなく安心して暖房を付けることができるようになります。

では次のページで、ヒートショック対策に有効な手軽な断熱リフォームをご紹介します。浴室だけでもできるだけ早く始めましょう。