住友林業が超プレミア純和風住宅
見学会当日は純和風にぴったりの雪景色に
中に入ると、高級和風旅館を超えた、新築なのに、京都の古寺の中を思わせる数寄屋造り。巾3間のゆったりした居間は床暖房対応のブラックウォールナットの無垢材フローリング、正面の壁タイルは、このモデルハウスのために窯元で焼いたという信楽焼タイル。存在感のある二曲屏風は、京都の着物染司である吉岡幸雄氏の紅と藍で染めた斐伊川和紙を、東京都の伝統工芸士に認定された手漉き和紙職人・鈴木源吾氏が仕上げた、まるで芸術品。
モダンなモデルハウスが立ち並ぶ駒沢展示場で一際目をひく純和風住宅
ハレ(非日常)である茶室とケ(日常)の居室をつなぐ通り土間もまた風情。深草砂利の洗い出しに埋め込んでいる陶板は、これまた信楽の近江窯業の逸品。通り側にあるガラス戸を開け放すと、「庭屋一如」の本格日本庭園が。ちょうど見学会の日は雪が降っており、侘びさびの骨頂を思わせる庭園風景に。また、展示場敷地の外に美しい蔵が残っており、こを借景にしているというこだわりようだ。
原点回帰は消費者ニーズでもある?
千利休が茶を習ったという京都大徳寺・三玄院の和尚が書いたという掛け軸が掛けられた本格茶室。当日は見学者に抹茶がふるまわれた
さて気になるのは、「なぜ今、純和風」なのか。住友林業はもともと伝統的な在来工法のトップメーカーではあるが、最近は大開口の取りやすい独自のビッグフレーム構法に注力し、鉄骨やRC顔負けの大スパン木造住宅でモダンな住宅を提供してきている。そのゆり戻しの理由を同社はこう語る。
モデルハウスのお風呂はもちろん本物のヒノキ風呂!入れないのが残念…?
原点に帰ることで、再度強みを構築し、消費者に自社のブランドを再度再認識させ、値下げ競争から抜け出すことができる。この好循環を狙えるのも、今回紹介した歴史あるメーカーだからこそだろう。大手メーカーに限らずとも、どの住宅企業も「自社の原点と分かりやすいブランド作り」が求められている。それは溢れる企業情報に辟易する消費者が求めていることでもあるからだ。