増資のデメリット

増資をするには法務局への申請などが必要です

増資をするには法務局への申請などが必要です

増資による資金調達手段のデメリットとしては、以下の点があります。

1.コストが掛かる
増資するにあたり、法務局への登記申請や税務署、都道府県税事務所、市役所などへの異動届の提出が必要です。登記申請の際の登録免許税、司法書士・行政書士、税理士への報酬の支払いとして合計7万円ほどかかります。なお、登録免許税は増資する資本金の額の1,000分の7(最低3万円)で、増加する資本金の額によって異なります。

2.配当金の支払が発生する
株主から見ると、増資により出資したお金は投資でもあります。会社が利益を上げれば、株主は配当を受け取る権利があり、会社は配当金によってこれに報いなければなりません。
 

増資の際の注意点

増資を行う際には、以下のような点に注意して慎重に進める必要があります。

発行可能株式総数について
会社を設立する際、将来的に発行が可能な株式の総数を決定して登記しています。既存の株式数と今回増資する株式数との総数が、この発行可能株式総数を超えてしまう場合、発行可能株式総数自体を引き上げる手続も必要となります。必ず確認してください。

■新株の発行価格について
新株の発行価格については、適性な株価を算定しておくことが必要です。税務上、適正な株価より低い価格で発行した場合、株主側が受贈益または寄付金課税の対象になるため注意が必要です。必ず税理士と相談しながら進めるようにしましょう。

■議決権について
第三者割当増資の場合、株主の持分割合を大きく変化させる可能性があるため、細心の注意が必要です。特に、経営者自身の持分割合が薄まる(持分割合が少なくなってしまう)ケースでは、経営への支配権を失ってしまう可能性もあります。経営者自身の持株割合が薄まらないよう、必ず経営者自身も一定の出資をするようにしましょう。

■消費税の新設法人の免税について
設立第1期、第2期の会社の場合、期初の資本金額が1,000万円未満であれば、その期は納税義務が発生しません。第2期目の期初までに増資を行って資本金が1,000万円以上になると、納税義務が発生し免税の恩恵を受けられなくなるためご注意ください。

増資後、資本金1億円を超えるときは要注意

増資後の資本金が1億円を超えると、以下のような中小企業向けの税務上の措置が適用されなくなり影響を受けるため、注意が必要です。

■法人税率
軽減税率が適用されず、年間800万円以下の所得に対しての法人税率が15%から25.5%に上がります。(税率は平成23年度税制改正大綱、平成23年4月1日以降開始事業年度分)
  
30万円未満の少額減価償却資産の特例
中小企業に認められている30万円未満の少額減価償却資産の特例が適用されなくなります。

■交際費の定額控除

交際費の定額控除の措置が適用されなくなり、交際費全額が損金として認められなくなり法人税が増加します。

■事業税が外形標準課税
事業税の外形標準課税の対象になり、赤字でも一定の事業税が発生する可能性があります。

■機械などを取得した場合の税額控除・特別償却

機械などを取得した場合の税額控除・特別償却が認められなくなります。

このように増資によって税務上不利になることも考えられます。これを避けるためには、増資時において出資金の2分の1は資本金ではなく資本準備金に組み入れることにより回避することは可能です。いずれにしても増資を検討されるときには、こうした税務上のことにも注意を払い、税理士と相談しながら増資金額を決定することが肝要です。

将来の増資に備えよう

経営を進めるにあたり、金融機関の格付けや信用に配慮することは非常に重要なことです。その大きな評価尺度のひとつが自己資本の充実度。会社の利益を上げると同時に、増資の可能性も常に意識しておきましょう。

そして、経営権を維持しつつ増資をするためには、経営者自身の議決権割合を薄めないことが求められます。そのためには、将来の増資を見込んで常日頃から経営者個人が手元に現金を持っておくという対策も忘れずに行いましょう。あらかじめ役員報酬の中から増資用に貯蓄しておくことがオススメです。

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