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科学的に正しい投資法「インデックス投資」とは?

数多くの経済学者らの研究によって、今では科学的に見て有効な資産運用術が見つかっています。しかも、その方法はシンプルで実践しやすく、金融の知識が無い方でも、すぐに始めることができます。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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日本人の間でもっとも人気の投資法は、株式投資みたいです。ですが、そもそも株式投資は、初心者が手を出してよいほど、簡単なものではないことをご存知でしたか?

以前、ぼくは「株のプロの話を聞いても、ほぼ役に立たないことが科学的に実証されてきた」という話をしました。つまり、株式投資ではプロに頼るほど、成功から遠ざかるということです。

「プロの意見がダメなら、独学で勉強すればいいじゃないか!」と思う方もいるかもしれません。しかし、それも間違いです。世界的な投資アドバイザーである、チャールズ・エリスは、彼の書籍(1)で、「個人投資家の運用成績は、機関投資家(プロ)と比べて、成績が悪い」という旨を述べています。
 

数あるテクニックも使えないと実証されてきた

悪いニュースは、まだまだ続きます。実は、昔から有効とされてきた株式投資のテクニックについても、その有効性が否定されています。

プリンストン大学の名誉教授であるバートン・マルキールは、彼の著書(2)で、「世間一般で使われている、ファンダメンタル分析やテクニカル分析は有効でない」という旨を述べています。

つまり、「プロに頼っても成功できない」「独学で頑張っても成功できない」という、八方塞がりな世界が株式投資の世界なのです。

こんな話をすると、「それでも、世の中には投資やトレードで成功している人がいるじゃないか!」と言いたくなる方もいるでしょう。しかし、経済学者らの間では、彼らは単に「まぐれで成功している可能性が高い」という見方がされています。

確かに成功している投資家やトレーダーは存在します。それでも、じゃんけん大会を開けば必ず優勝者が生まれるように、成功している投資家やトレーダーも「たまたま成績が良かっただけ」の人が現れるのが当然だからです。
 

では、投資でお金持ちになる方法はないのか?

しかし、落ち込むことはありません。数多くの経済学者らの研究によって、今では科学的に見て有効な資産運用術が見つかっています。

しかも、その方法はシンプルで実践しやすく、金融の知識がない方でも、すぐに始めることができます。それに、科学者たちも認める資産運用術ですから、ヘタな「ノウハウ本」にかかれた方法を使うよりも安心です。

それは、どのような方法なのか? と言うと、「インデックス投資」という方法です。この方法は、ノーベル賞を受賞してきた、ハリー・マーコウィッツ、ジェームズ・トービン、ウィリアム・シャープらの「現代ポートフォリオ理論」に基づいて作られた資産運用術です。

具体的には、ハリー・マーコウィッツによる「ポートフォリオ選択論」(3)と、ジェームズ・トービンによる「分離定理」(4)、そして、ウィリアム・シャープによる「CAPM理論」(5)に基づいて作られたのが、このインデックス投資です。

何やら難しい言葉が並んでいますが、ご安心ください。やることはとても単純なので、実践するのは簡単です。やることは2つだけです。
  • やること1:いくらを資産運用に回すかを決める(無くなってもいいお金)
  • やること2:決めたお金で「パッシブ型の株式ETFを買う」
なお、「パッシブ型の株式ETF」とは、TOPIXやS&P500と呼ばれる経済指標に連動する投資信託のことです。証券口座を開いた方であれば、どなたでも買うことができます。安いものであれば、数万円でインデックス投資を始めることができます。
 

まとめ

インデックス投資の有効性は、世界一の投資家であり、「投資の神様」とも呼ばれているウォーレン・バフェットにも認められています。彼は世界トップ5にも入る大富豪です。彼は、彼の妻に宛てた遺言の中で、インデックス投資で資産運用を行うように指示を出しました。

ノーベル賞ものの技術が詰め込まれているうえ、世界一の投資家もが認める資産運用術。それこそがインデックス投資なのです。「難しいことは分からないけど、資産運用をやってみようかな……」と悩んでいる方は、この方法を検討してみてはいかがでしょう?

【関連記事をチェック!】 【参考文献】
  1. 書籍:チャールズ・エリス, 2015, “敗者のゲーム”, 日本経済新聞出版社
  2. 書籍:バートン・マルキール, 2016, 『ウォール街のランダム・ウォーカー』, 日本経済新聞出版社
  3. 論文:Harry Markowitz, 1952, “Portfolio Selection”, 7(1), pp. 77-91
  4. 論文:James Tobin, 1958, “Liquidity Preference as Behavior Towards Risk”, The Review of Economoic Studies, 25(2), pp. 65-86
  5. 論文:William F. Sharpe, 1964, “Capital Asset Prices: A Theory of Market Equilibrium under Conditions of Risk”, The Journal of Finance, 19(3), pp. 425-442
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