資金は会社にとっての血液。その血液である資金が枯渇したら、会社を存続させることはできません。資金調達の可否会社の将来を決めるといっても過言ではありません。必要な資金を必要なときに、より良い条件で集められるような体制作りが重要なのです。中小企業での金庫番の経験もあり現在は税理士であるガイドが、資金繰り、資金調達の基本10ヶ条を解説していきます。

1.最低限でも3ヶ月先まで把握

まずはしっかりと数字を把握すること

まずはしっかりと数字を把握すること

税理士として 多くの経営者と接していて気がつくこと。それは、経営がうまく行くかどうかの重要な要素の1つが経営者が数字に強いかどうかだということです。それは、生まれつき数字に強いかということではなくて、数字をしっかりと把握するという当たり前のことをやっているかどうか、数字に関心があるかどうかということです。まずは経営において数字をしっかりと把握するということが、いかに重要なことかを再認識しましょう。

経営上の数字の把握のうち特に重要なのは、資金繰りの予測です。最低でも3ヶ月先の資金予測は経営者の頭の中に常にあるべき。もし、資金が不足することが予測される場合でも、3ヶ月間あれば新たな借入を起こすにも余裕を持って対策が可能だからです。

逆に数週間後に資金がないことが急にわかって金策に走り、急に融資を申し込むなどすれば、対策が間に合わなくなるばかりか金融機関にも警戒されて信頼を失うことにもなります。ゆとりをもった計画性のある資金繰りを心がけましょう。金融機関との借入交渉も融資実行希望日の2ヶ月くらい前から準備しておくことをオススメします。間違っても、「来週月曜日が支払いなので、貸してください!」というようなことのないように注意しましょう。

また、大きな仕事を受注する際に、どうやってそのための調達するかも考えながら先に進めることが重要なのはいうまでもありません。そのためにも資金繰り表を作成することが基本となります。なお、資金繰り表の作成には独特のやり方がありますので、「資金繰り表の作り方」で解説しています。

2.入りは最小に、出は最大に予測

経営を行うにあたり、高い数値目標を掲げるということはあるかと思います。ただし、資金予測については、それとは逆に慎重な予測をすることが求められます。つまり、収入は最小に予測し、支出は最大に見積もるのです。入金のタイミングはやや遅く予測し、支出のタイミングはやや早めに予測します。

怖いのは、「月末にあの売掛金が入ってくるだろうから、すぐこちらの支払いに充てれば大丈夫だろう。」といった甘い資金予測。車の運転と似ていますが、資金予測についてだけも「~だろう」という楽観的な予測より、「~かもしれない」という慎重な予測が必要です。

3.税金、社会保険料の支払いに注意 

資金予測にあたり、特に注意が必要なのが税金、社会保険料の支払いです。税金、社会保険料の支払いは、毎月一定額でもなく、金額も多額になりがち。確実に支払時期と金額を把握しておかないと後であわてることになります。以下の項目を確実に把握しましょう。

■決算申告後の法人税など
決算申告時の法人税などの支払いは、多額になることもあるため注意が必要です。税理士に決算申告などを依頼している場合は、概算の納税額がわかったら、早めに連絡してもらえるように依頼しておきましょう。黙っていても資金繰りにまで配慮してもらえるとは限りません。

■源泉所得税
源泉所得税の支払いも多額になりがちなので注意しましょう。特に特例納付で1月、7月に半年分をまとめて支払っている場合は早めの把握が必要です。また、賞与後の源泉所得税の支払い額が増加する点にもご注意ください。

■消費税
税金の資金予測で一番重要なのは消費税の支払予測です。消費税は預かり金的な性質があるため、基本的に金融機関は消費税の納税資金について融資することはありません。支払時期にいくら必要でどう備えるかよく検討しておきましょう。

■社会保険料
社会保険料に関しても金額の増減があることに注意してください。特に毎年10月(9月分)の改定時に社会保険料額が増加する可能性があります。社会保険労務士に依頼している場合、事前に増加するかどうか確認することをお忘れなく。また、賞与支払時には翌月末の社会保険料額が増加することにもご注意ください。

■労働保険料
労働保険料についても一度に多額の納付が必要になるため注意が必要です。特に延納(分割納付)を適用していないケースでは6月~7月にまとめて1年分の納付をすることになります。社会保険労務士に依頼しているケースでは、事前に納付額の確認を怠らないようにしてください。

4.勘定足りて銭足らずを避ける

赤字経営が続いて倒産する、これは当然の結果ですよね。しかし、黒字でも倒産することがあります。いわゆる黒字倒産、「勘定足りて銭足らず」ともいいます。つまり、経理上の利益が捻出されているにも関わらず、手元キャッシュが途中でショート(枯渇)してしまう状態です。

では、なぜこういったことが起こるのでしょうか。典型的なのは、売上やコストが毎年変わらずに推移し利益が出ていても、世の中の不況で売掛金の回収が遅くなったり、銀行から借入ができなくなったり、借入金の返済を迫られたりするようなケースです。つまり、黒字でも企業は倒産する可能性があるのです。利益が出ていればいいというわけではありません。

もうひとつの気をつけなければならないパターン。それは事業を急拡大する局面です。事業の拡大によって帳簿上の売上が順調に伸びている一方、事業拡大に伴う初期投資や従業員の大量採用などで多額の固定費が増えている。しかし、客先からの支払い条件が悪く、数ヶ月先にしか現金にならない。そういった状況での突然のトラブルで売掛金の入金が遅れる。こういったケースが要注意です。いくら売上が増加しても、売掛金を現金で回収して初めて儲かったといえるのです。波に乗っているときほど手綱を締め直し、資金繰りに注意しなければなりません。

5.手元キャッシュを潤沢に

不意のトラブルによる資金不足に備えるためにはどうすればいいのでしょうか。それは、万が一に備え、常に手元キャッシュを潤沢に準備しておくこと。資金に余裕がある時期に定期預金をしておき非常時以外は手をつけないとか、定期積金口座を開設して毎月積み立てを始めるなどがオススメです。

現金預金を固定資産化してしまうことにも慎重になる必要があります。例えば、現金預金も土地建物も同じ資産ではありますが、流動性(いつでも現金として使える可能性)に違いがあります。つまり、いくら土地建物が資産としての価値があったとしても、必要なときに現金化して支払いに使うには買い手を見つけ売却して現金化することが必要で、相当な日数が掛かるのです。こういった固定資産を購入するときは、手元キャッシュを使うのではなく、必ず設備資金としての借入を手当てすることをお忘れなく。