文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
前回記事「増資とは?融資とどう違う?」では、三菱自動車が第三者割当増資によって、三菱グループから新しい資本を受けて再建する話をしました。
このように、最近の増資といえば、企業を救済するために新しい資本を投入する際に使われるケースが増えてきています。
ところが増資には、もっと前向きで、企業の成長を促進するために使われるケースもあるのです。
新聞
企業グループが増資でビッグになる?


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会社と一緒にビッグになれる増資のケース(1P目)
時代とともに移り変わる増資のタイプ(2P目)

会社と一緒にビッグになれる増資のケース

成長過程にある企業や新規事業に資金を必要とする企業は、広く一般の投資家から事業資金を募集をする、公募発行増資を行う力があります。魅力を感じる企業には、出資したい投資家はどんどん集まってくるものです。

この点が、企業救済に使われる増資と大きく違います。傾きかけた企業を救うために資金を出すのは、よほど関係が深いところでしょう。

公募増資に対して、出資をしようとする場合に見極めたいのは、以下の点です。
「その集めた資金でその企業は何をしたいのか」
「その企業は、何にそのお金を使うのか」
ここをよく調べて、投じたお金を有効に事業に活用してくれる資金集めなのかどうかを、公募増資株に投資するかどうかの判断基準とすると良いでしょう。

また、増資には、発行済株式数が増えるけれど、資本金は増えない「株式分割」と、新たにお金を投じてもらう、「有償増資」とがあります。

「株式分割」は、株式投資の経験のある方は、一度は経験していることでしょう。企業にとっては、株主が増える、株券の流通が活発になるなどのメリットがありますが、株主にとってはそれ以上のメリットがあります。

株主にとってのメリットは、既に持っている株式に加え、新たに分割により発行した株式を、無償で手にすることができます。その際に、一時的に株価は調整のために下げますが、成長過程にある企業は、再び株価が同じ程度の水準まで上昇することが多くあります。

そうすると、持株数が増えた分だけ、投資家の保有財産は増えることになります。

成長過程にある企業の例として、セブン・イレブンジャパンがここまでたどってきた増資の道を例に挙げて説明しましょう。

セブン・イレブンジャパンは1979年10月に1,800円の株価で上場しました。
当時、1,000株のセブン・イレブンジャパンの株を買った投資家は、会社の成長と一緒に、公募発行増資を受け、今まで受けとった株を売らずに持っていたら38,070株に増えています。株価3,150円で計算すると、なんと1億2,000万円になっているのです。約67倍です。25年で、出資した投資額が67倍です!

●上場後のセブン・イレブンジャパン、株式分割の推移

年月株式分割の比率持株数
1979/10上場時1,000
1980/021:1.21,200
1981/021:1.21,440
1982/021:1.21,728
1983/061:23,456
1984/021:1.13,801
1986/022:35,701
1988/021:1.26,841
1989/021:1.28,209
1990/021:1.29,850
1991/025:611,820
1992/021:1.114,302
1993/021:1.115,732
1994/021:1.115,732
1995/021:1.117,305
1996/021:1.119,035
1999/081:238,070


株主にとって理想的な「株式分割」のケースです。
次のページでは、資本金が増える「有償増資」について説明します。