突然、派遣会社から「雇用契約」を中途解除する、つまり解雇だといわれたら?これまでモヤモヤした疑問を抱きながら、やむなくそれを受け入れてきた派遣スタッフの方もいるかもしれません。今回は、登録型の派遣スタッフの有期雇用契約の中途解除について確認しておきます。

「派遣契約」と「雇用契約」は違います

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雇用契約と派遣契約は違う


「雇用契約」は派遣スタッフと派遣会社の就業条件等に関する契約ですが、「派遣契約」は派遣会社と派遣先の商取引の契約です。仮に、派遣先の急な事業停止や人員整理などによって派遣契約が中途解除になったとしても、派遣スタッフの雇用契約に直接は関係ありません。

「雇用契約」の中途解除には条件が必要です

一般に、有期の雇用契約は「雇用が不安定」だと思われていますが、期間に定めがある分、期間内の契約の拘束力は高いのです。期間中の雇用契約の解除は「やむをえない事由」がない限り認められません(民法628条)。派遣会社から雇用契約の解除を切り出された場合は、派遣会社が「やむをえない事由」を証明する必要があります(労働契約法17条)。

「やむをえない事由」は複合的に判断されるので、これだと断定してお伝えすることはできませんが、判例でも「派遣先が見つからない」という理由だけで即座に「やむをえない事由」とは認められいないので、裁判で争うことになれば、相当に派遣スタッフが保護される可能性があります。派遣先がないなどの事情によって派遣できずに休業させる場合には、派遣会社は派遣スタッフに平均賃金の6割以上を払わなければならないと法律で定められています(労働基準法第26条)。 

派遣会社から「派遣先がなくなったから、雇用契約も解除ね」と安易に切り出された場合は、まずは「労働契約法で『やむをえない事由』が必要だと決められていますが、どういった事情があるのか」と確認してみてください。

告知は30日前までに行われなければなりません

さらに、雇用契約を中途解除する場合、派遣会社は少なくともそのことを30日前までには派遣スタッフに伝えなければなりません。予告を行わなければ、雇用契約を中途解除する日数に応じて、解雇予告手当を請求できます。

上記に加えて、派遣先にも「講じなければならない措置」があります。派遣契約を中途解除する場合は、関連会社などで派遣スタッフの就業機会を確保すること(就業「機会」なので必ずしも就業が保証されるわけではない点は注意が必要です)や、30日前に予告できない場合は、派遣スタッフの賃金相当分の損害賠償を行うことなどです。派遣先の事情に端を発した雇用契約の中途解除では、派遣先と派遣会社の力関係のなかで派遣料金を受け取ることができず、結果、派遣スタッフに賃金が支払われないという悪循環が起きています。逆に、派遣先から適正に派遣料金を受け取れれば、派遣スタッフに賃金を払おうとする派遣会社もあります。

リーマンショック後に、派遣契約の中途解除にともなう雇用契約の中途解除が多発したことから、厚生労働省から対応についてまとめた資料が出ています。関心のある方はご覧になってください。

また、2011年3月11日に起きた東日本大震災後に派遣スタッフの方から寄せられた質問と、その対応方針についても「東日本大震災に伴う派遣労働に関する労働相談Q&A」を厚生労働省が発表しています。雇用契約や休業手当について疑問がある方は、ご一読することをおすすめします。

なお、派遣スタッフの都合による雇用契約の中途解除や、何度も契約更新した雇用契約の満了では事情が異なります。その点については機会をあらためてまとめたいと思います。


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