少数だが深刻……頭内爆発音症候群の頻度
とてもまれな病気ですが、本人にはつらい睡眠障害です
不思議なことに、寝つこうとするときや夜中にふと目覚めたときに、頭の中での爆発音や何かが爆発した感覚に悩まされている人たちがいます。このような状態を「頭内爆発音症候群」と呼びます。
頭内爆発音症候群は比較的新しい病気で、まとまった症例の報告は1988年にイギリスのピアースが10例の患者さんについて行ったのが最初です。ピアースはのちに50例の報告も発表していますが、一般的にはかなりまれな病気です。
頭内爆発音症候群の症状
爆発音に閃光を伴うこともあります
この爆発音は何の前触れもなく起こり、痛みを伴わず一瞬で終わりますが、患者さんにとってはとてもいやで恐ろしい体験のようです。
フラッシュのような強い光を感じたり、墜落するような身体の感覚を伴うこともあります。頭の中で何か大変なことが起こったと思い、脳卒中やクモ膜下血腫などの脳血管障害を心配して病院を訪れる人もいます。
もともと片頭痛を持っている人にこの病気が起きると、発作の間に片頭痛が悪化することがあります。また、爆発音のあとに金縛りが起き、その後、片頭痛を感じた人もいました。
爆発音が起こる回数はさまざまで、一生のうちに数回の人から、数夜連続して起きたかと思うとしばらく静かになることを繰り返す人もいます。このように発作が長期間にわたって続くと不眠になるため、睡眠障害の国際的な分類では「睡眠時随伴症」の1つに取り上げられています。
発作が起きたときに睡眠ポリグラフ検査が行えた例では、覚醒から浅い睡眠へ移り変わるときや浅い睡眠中に爆発音が聞こえていました。
頭内爆発音症候群の原因と治療
片頭痛との関連が疑われています
片頭痛と発作の関係から、爆発音は片頭痛の前兆ではないかと考える研究者もいます。今後の研究が待たれるところですが、何しろまれな病気なため原因やメカニズムの解明には時間がかかりそうです。
50年以上も頭内爆発音症候群と付き合っている人がいますから、直接、命にかかわる病気ではなさそうです。治療の決め手はまだありませんが、この病気は悪いものではなく生理的な現象に近いものであると説明して安心させると、発作が自然に無くなったり起こっても驚かなくなります。薬物治療としては、抗うつ薬の塩酸クロミプラミンが有効という報告もあります。