寺・神社/はじめての寺・神社

石仏と石の神様ウォッチング(3ページ目)

神社やお寺を巡っていて、わたしが一番好きなのは、石でできた仏様や神様を見つけることです。有名な仏像と違って建物の外にあるので、写真も撮り放題。ひとくちに石仏と言っても、実にさまざまな種類や表情があり、コレクションするのが楽しいです。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

1.自分なりのベスト石仏を見つけよう

五島

東京世田谷区、五島美術館の庭園で発見したお地蔵さん。小さくてもとても味わい深い

前にも書いたように、石仏や石の神様の像は、どこにでもあります。まずは、お近くにある神社や寺で探してみましょう。

そこで見つからなければ、インターネットなどで検索して、なるべく近くで、よい像がありそうな神社や寺に行ってみましょう。美術館の庭園などにも、意外によい石仏がコレクションされているので、見逃せません。

また、京都、奈良、鎌倉など、古い神社仏閣が多いところでは、当然、歴史の古い石像も多く見られるので、狙って行かずとも、旅の途中でたまたま行き合ったということもあるものです。

定治

長野県諏訪市。これは、石仏にしては珍しく、守屋定治という著名な石工が作った作品。素晴らしくて大好きな石仏だが、有名だから好きというわけではない

しかし、ここで心得ておきたいことは、特に石の神仏の場合、有名な寺や神社にあるからと言って、また、そこが有名な石仏群であるからと言って、一概に優れているとは言えないということです。むろんそこに、一般的に評価が高い石仏がある可能性は高いですが、そもそも、「それがよいかどうか」は、あなた自身が決めることです。

したがって、あまり有名でない人の行かないような寺の片隅で見つけた石仏が、あなたにとってベストということも多々あるのです。人との出会いと同じで、「ピピッと来るかどうか」が肝心。独自の美を感じ取る感性を磨いてお出かけください。

2. なるべく足しげく通おう

地蔵

東京練馬の長命寺。影を使うのもいいが、陽ががさんさんと当たるところで撮ると、明るく前向きな感じの写真になることもある

石の神仏は、光のあたり方によって、表情をがらりと変えるのが魅力です。ご存知のように、写真も光の具合で出来具合が全然違いますよね。

あるときはあまり印象に残らなくても、別の日に行ってみたら、がぜん魅力的だった。そんなこともよくありますので、一度で決め付けず、気になる石仏のところへ、足しげく通ってみましょう。

たとえば、右の写真は、練馬の長命寺。ここは閻魔大王像で有名ですが、二度目に行ったときに、このかわいいお地蔵さんを発見!

3. 時間をかけてゆっくり撮ろう

浄智寺

鎌倉、浄智寺。粘りに粘って、やっとこの光を捉えた!

当然のことながら、光の具合は、季節だけでなく、一日の時間帯でも大きく変化します。ですから、朝ある石仏の写真を撮り、夕方にもう一度行ってみると、まったく違うものに見えて、ますます創作意欲を刺激されることがあります。

また、撮る角度によっても、石仏は違って見えます。ぱっと行ってぱっと撮るだけでは、単なる記念撮影にしかなりませんので、場合によっては、ひとつの寺や神社に1日かけるつもりで出かけ、じっくりとあちこちのアングルから撮ってみましょう。したがって、なるべく同行者をなしにして、一人で出かけること。誰かを待たせていると、気になって、よい写真が撮れません。

ただし趣味を同じくする人ならOK。あとで撮った写真を批評しあうことができます。

4. 撮った写真を自慢しよう

狐

鎌倉、佐助稲荷。斜め前を向く狐の表情が大好きな、お気に入り写真

そのように手間をかけて写真を撮っていると、そのうちに、「うん? これって大傑作なのでは」と思う作品が撮れるようになります。そうしたら、ぜひ、誰かに見せて自慢してみましょう。その後、実際にその石仏がある場所にお連れするのも一興です。

石仏写真は、うまく撮ると、肉眼で見るよりもはるかにアーティスティックになる場合があり、「えっ、こんな一見何の変哲もないお地蔵さんが、あんな素晴らしい写真になるなんて!」と驚いてもらえる場合があるからです。それは、ある面では、あなたがその神仏に向けるまなざしが投影された、心象風景の写真だからです。

これは、実はわたしも何度か経験があることです。それによって、わたしは、ますます石の神仏の世界にのめりこんで行ったのでした。あなたもぜひ自分なりのベスト石仏を見つけて、素晴らしい作品を撮ってください。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます