1.自分なりのベスト石仏を見つけよう
前にも書いたように、石仏や石の神様の像は、どこにでもあります。まずは、お近くにある神社や寺で探してみましょう。そこで見つからなければ、インターネットなどで検索して、なるべく近くで、よい像がありそうな神社や寺に行ってみましょう。美術館の庭園などにも、意外によい石仏がコレクションされているので、見逃せません。
また、京都、奈良、鎌倉など、古い神社仏閣が多いところでは、当然、歴史の古い石像も多く見られるので、狙って行かずとも、旅の途中でたまたま行き合ったということもあるものです。
しかし、ここで心得ておきたいことは、特に石の神仏の場合、有名な寺や神社にあるからと言って、また、そこが有名な石仏群であるからと言って、一概に優れているとは言えないということです。むろんそこに、一般的に評価が高い石仏がある可能性は高いですが、そもそも、「それがよいかどうか」は、あなた自身が決めることです。
したがって、あまり有名でない人の行かないような寺の片隅で見つけた石仏が、あなたにとってベストということも多々あるのです。人との出会いと同じで、「ピピッと来るかどうか」が肝心。独自の美を感じ取る感性を磨いてお出かけください。
2. なるべく足しげく通おう
石の神仏は、光のあたり方によって、表情をがらりと変えるのが魅力です。ご存知のように、写真も光の具合で出来具合が全然違いますよね。あるときはあまり印象に残らなくても、別の日に行ってみたら、がぜん魅力的だった。そんなこともよくありますので、一度で決め付けず、気になる石仏のところへ、足しげく通ってみましょう。
たとえば、右の写真は、練馬の長命寺。ここは閻魔大王像で有名ですが、二度目に行ったときに、このかわいいお地蔵さんを発見!
3. 時間をかけてゆっくり撮ろう
当然のことながら、光の具合は、季節だけでなく、一日の時間帯でも大きく変化します。ですから、朝ある石仏の写真を撮り、夕方にもう一度行ってみると、まったく違うものに見えて、ますます創作意欲を刺激されることがあります。また、撮る角度によっても、石仏は違って見えます。ぱっと行ってぱっと撮るだけでは、単なる記念撮影にしかなりませんので、場合によっては、ひとつの寺や神社に1日かけるつもりで出かけ、じっくりとあちこちのアングルから撮ってみましょう。したがって、なるべく同行者をなしにして、一人で出かけること。誰かを待たせていると、気になって、よい写真が撮れません。
ただし趣味を同じくする人ならOK。あとで撮った写真を批評しあうことができます。
4. 撮った写真を自慢しよう
そのように手間をかけて写真を撮っていると、そのうちに、「うん? これって大傑作なのでは」と思う作品が撮れるようになります。そうしたら、ぜひ、誰かに見せて自慢してみましょう。その後、実際にその石仏がある場所にお連れするのも一興です。石仏写真は、うまく撮ると、肉眼で見るよりもはるかにアーティスティックになる場合があり、「えっ、こんな一見何の変哲もないお地蔵さんが、あんな素晴らしい写真になるなんて!」と驚いてもらえる場合があるからです。それは、ある面では、あなたがその神仏に向けるまなざしが投影された、心象風景の写真だからです。
これは、実はわたしも何度か経験があることです。それによって、わたしは、ますます石の神仏の世界にのめりこんで行ったのでした。あなたもぜひ自分なりのベスト石仏を見つけて、素晴らしい作品を撮ってください。