1. 石の仏像
代表的なのは、お地蔵さんこと地蔵菩薩です地蔵菩薩は、56億7千万年後にこの世に現れて人を救ってくれるといわれる弥勒菩薩が登場するまでの間、この世にあって人間を救う役目を持っています。56億7千万年もの間、誰にも守ってもらえないのでは不安ですからね。
お地蔵さんは、この世の庶民の味方であるため、仏というよりも、この世の若い僧侶に近い姿をしています。お地蔵さんは、みんな坊主頭でしょう? それは僧侶の姿だからです。また、六地蔵と言って、人が死後に輪廻する六つの世界(地獄、餓鬼道など)に落ちた人を守ってくれるお地蔵さんが六体並んだものもよく見かけます。
次によく見かけるのは、如意輪観音さんです
如意輪観音は、手に如意宝珠という願いを叶える珠を持ち、人を助けてくれます。
お不動さんこと不動明王もよく見かけます
不動明王は、現世利益のパワーが強い方なので、庶民に親しまれました。そのため、そこここで、石の像も見かけます。
羅漢さんの像も楽しいです
羅漢さんとはお釈迦様のお弟子さんで、五百人もいます。そのため羅漢像は、おびただしく数があるのが普通です。しかも、羅漢さんは正確に言えば仏様ではなく人間の僧侶ですから、ポーズや表情がより変化に富んでいます。
2. 石の神様
もっともよく見かけるのは、七福神の像です正確に言えば、七福神のメンバーの中には、仏様もいらっしゃいますが、一般的に、福の神として親しまれ、一ヶ所に7人全員がそろって、簡単に七福神めぐりができる場合も多いです。
道祖神もよく見かけます
主に、男女が仲良さげに並んでいるもので、神道の神様とはまた違う、民間信仰の神様です。
集落の結界に祀られ、悪霊や疫病の進入を防ぐ役割を持っています。よく見かけるのは、安曇野など長野県全域、山梨県、群馬県、神奈川県など、関東甲信越が中心です。
これは普通に男女が仲良くしているポーズですが、中には、強烈なキスをしている像や、かなり危ない感じに抱き合っている像もあって、侮れません。
庚申塔は、東京の中心部でも、ひじょうに多く見られます
庚申信仰は、仏教、神道、中国の道教などさまざまな宗教が混じってできたもので、いろいろな形があります。仏教的要素が強い場合は、青面金剛という仏様の姿が彫られています。神道の世界では、サルタヒコという神様と同一視されてもいるので、「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿が彫られていることもあります。
暦の庚申の日には、眠っているうちに人間の体から三尸(さんし)という虫が抜け出して、その人の罪を、天帝に告げ口に行くのです。それを阻止するためには一晩中起きていなければいけないため、人は集まって宴会をするようになりました。
それを一定期間続けると、三尸は死んでしまい、めでたし、めでたし。やり遂げた記念に、人々は、庚申塔をたてました。この信仰は、江戸時代に大流行し、戦前までは各地で行われていたものです。そのため、東京の中心部にも、たくさんの庚申塔が残っています。
3. 動物の像
お寺や神社では、特定の動物の像もよく見かけます。その代表例は狛犬です。これは、もとを辿れば、エジプトのピラミッドの前にあるスフィンクスなどとルーツを同じくするものとも言われ、犬と言っても、実際は獅子(ライオン)であることが多いです。が、本当に犬であったり、もしくは、その神社の神様とゆかりのある動物であったりすることもよくあります。たとえば、お稲荷さんによくある狐や、天満宮にある牛などです。
ここで誤解してはいけないのは、そういった動物の像は、ほとんどの場合、神様のお使いであって、神様そのものではないということです。したがって、稲荷神=狐ではありません。
神社に祀られる神様は、基本的に人の目には見えないものですから、像が作られることはめったにありません。神像と呼ばれる神様の像もまれにありますが、それは仏教の影響から生まれたもので、本来、神社のご祭神(中心的な神様の像)は、ほとんどの場合、ないと考えてください。
次のページは、石の神仏の撮影のコツです。