輸入車/注目の輸入車試乗レポート

SUVの9-3Xでサーブが復活!(3ページ目)

親会社GMの苦境で、一時はブランドの消滅さえ危惧されたサーブだが、親会社が変わり日本でも復活を果たした。ニューモデルとして投入されたのはワゴン派生型のSUV、9-3Xだ。どんなモデルなのか早速お届けしよう。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

後席中央部にはスキーハッチも!

リヤシート倒し

後席は6:4分割可倒式で、荷室を容易に拡大できる。VDA方式で477Lから最大で1331Lまで拡大可能。また、中央部にはスキーハッチを備え、助手席も倒すことができるのが魅力だ

かつてのサーブといえば、航空機のコクピットのように計器類がズラリと並び、マニア心をくすぐったものだが、サーブ9-3Xは、良くも悪くも普通だ。エンジンキーがセンターコンソールにあり、ドアミラーの調整ボタンがAピラーの根本にあるくらいで、とくに操作に慣れを要することもなく、輸入車に乗ったことのある人ならすぐに使いこなせるだろう。

シートサイズは前後ともにたっぷりしていて、大人4人がくつろげる広さを確保している。後席のフットスペースがやや狭く感じるが、ロングクルージングも十分にこなせるキャビンといえる。ラゲッジはエステートがベースなだけあってもちろん広い。4人乗車で1、2泊旅行というシーンでも、夫婦2人で荷物を満載し、趣味を楽しむというシーンでもスペースに不足はない。6:4分割可倒式の後席背もたれを倒せば容易に拡大できる。さらに、助手席を倒せば2.5mまでの長尺物も積めるし、後席中央にあるスキーハッチを使えば後席に座ったままスキー板なども積める。

ライバルは少ない? 貴重な個性派SUV

ラゲッジ

エステートがベースなだけあって、荷室は奥行き、幅ともに十分な広さを確保する。4人家族でも多彩な趣味をもつカップルにも十分対応できる荷室容量を備えている。それでいてボディサイズも大きすぎないから扱いやすい

走りや使い勝手はごく普通といえるもので、肩肘張らずに付き合えるのがサーブ9-3X最大の美点だ。ベースの9-3エステートやほかのステーションワゴンを選ばずに、9-3Xを指名する「理由」は、20mm高い車高と使いやすい位置にあるルーフレールなどのSUVとしての機能面を評価するのと、普通のワゴンとは違ったスタイリングにあるだろう。

最近はSUVラッシュといえる状況だが、現在ワゴン派生型のSUVはレガシィ・アウトバック以外にライバルはない。全長4690×全幅1800×全高1570mmのボディサイズも大きすぎず、日本でもちょうどいい。人とは少し違ったワゴン、SUVを探しているなら選択肢に入れたい存在だ。ただし、ESPやコーナリングブレーキコントロール、各種エアバッグなど安全装備の充実ぶりはプラスに考えられても、520万円という少々割高感のある価格設定なのがやや残念ではあるが。
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