ここ最近発覚した防耐火偽装の経緯をまとめます。
2007年10月~11月:建材の耐火偽造
住宅の軒裏(↑)部分は飛び火を受けやすいので耐火材を使用する。
同年11月には東洋ゴム工業による準不燃材料の大臣認定の不正受験も発覚しました。
2009年1月:サッシの耐火偽装
さかのぼること2年前の2009年1月8日、エクセルシャノン、三協立山アルミ、新日経、PSJ及びH.R.D. SINGAPORE PTE LTD の5社が、樹脂製窓の耐火性について不正な試験体を使って性能評価を受け大臣認定を受けたことが発覚しました(2年前のサッシ耐火偽装について詳しくはこちら)。
その不正な試験体を使用して性能評価を受けた防火設備(樹脂製窓)が計27種類、80件に及んだということで、大きく新聞に報じられました。不正に認定を受けたサッシについては大臣認定が取り消されました。
2010年11月:サッシの耐火不整合
隣同士で近接している建物は耐火性を高くしないと危ない。
4か月前の2010年11月、三協立山アルミが販売したサッシで、大臣認定仕様とは異なる製品(耐火不足)が販売されていたことが判明、国土交通省から発表されました。
この三協立山アルミのサッシの耐火不整合は、今回のトステムと似ています。共にアルミ樹脂複合構造(いわゆる樹脂サッシ)で(社)カーテンウォール・防火開口部協会が認定を取得した、認定番号「EB-9112」であることです。
サンプル調査で発覚
建材やサッシの防耐火偽装が相次ぎ、国土交通省では防耐火関連の大臣認定について確認やサンプル調査を続けていました。その中で今回のトステムのサッシの耐火性能の不整合が発覚するに至りました。国土交通省は引き続きサンプル調査を行う、としています。
原因は分からず
国土交通大臣の認定を取得している社団法人カーテンウォール・防火開口部協会のホームページにお詫びが載っていますが、「トステムの該当商品について認定仕様の審査を行い、適合しているものとして取り扱っていました」と記載されています。
またトステムのホームページにもお詫びが掲載されています。それによると「当該製品は対象製品の特定フローに従って国土交通省の定めた仕様に基づき適切に生産・販売してきたものと認識しており、このような指摘を受ける事態は全く想定していなかった」ということです。
お互いに不備はなかった、と主張しているような内容です。再発を防ぐためには原因の究明が必要で、改善策と合わせ十分に検討し、責任をもって発表していただきたいと思います。
改修が必要な人
今回のトステムのサッシ「シンフォニー」耐火不整合の発覚で改修が必要な建物の見分け方です。
・トステム社の当該製品を使用している
・窓の位置 ⇒ 隣地境界線または道路中心線から1階なら3m以内、2階以上で5m以内に窓がある建物。
【図1】延焼を受けやすく耐火性の高い壁や窓にしなくてはいけない部分。
もし該当するようであれば早めの改修が必要です。トステムのホームページに対象製品名一覧があるのでそちらで確認してください。
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【関連サイト】
国土交通省報道発表資料
財団法人住宅リフォーム・紛争処理センター 消費者電話相談窓口