☆野菜の一皿
根セロリ+トリュフ+リンゴ
江見シェフにとって、今後の(コースの)スペシャリテとして考えられているのが「野菜の一皿」。今回は冬ということで根菜の「根セロリ」を使われましたが、季節によって使う食材は変えられていくとのことです。やはり、メイン料理に入る前には、こういった野菜料理が一皿あると嬉しいですし、定番化してほしいですね。
特にこの「根セロリ」は根菜ならではの食感の良さを保つ程度の蒸しが施され、
そこに「セロリ」と相性抜群の「リンゴ」を配置。また、上に乗っているパン粉とトリュフの香り&食感のアクセントが心地良く加味されており、飽きのこない味わいとなっているのです。
☆魚料理
瀬戸内産アイナメと茄子とトマトのバトー、淡路産玉葱の香りで
「海」をイメージしたガラスの二重器(上段には料理、下段には色違いのトサカ2種)で登場してきたのは、アイナメと茄子&トマトを使ったバトー(船)仕立ての見た目にも味わい的にも美しい一皿。
魚貝の鮮度と質も申し分なし
アイナメの表面にはパセリのペーストが塗ってあり、見た目の美麗なインパクトがとても印象的。そのアイナメの下には魚の出汁(スープ・ド・ポワソン)で煮た茄子を、軽くローストしたトマトで包んだものが敷いてあるのですが、全体にとても柔らかな食感で、舌の上に旨味がしみじみと感じられます。アイナメと合わせて食べると、軽やかながらも多層的な味わいがありましたね。
また、魚の周りにある輪っか部分は、ジャガイモのフリット。こちらを一緒に食べることで食感にサクサク感を付与されるので、見た目の面白さ以上に、この料理に欠かせないアクセントとなっていました。
そして、このアイナメを引き立てるソースは3種類! 「タップナード」「パセリのオリーブオイルソース」「トマトを濾過した透明なジュ」と、この多彩な演出もクオリティの高さも素晴らしい。シェフの真骨頂ともいうべき得意の魚料理だけあって、さすがの一言。今回もっとも心に残る料理でした。
☆肉料理
シャラン鴨肉の低温ロースト、ポルチーニ茸のクロケットとトピナンブール
肉料理はシャラン鴨肉の低温ロースト。ソースの変わりにポルチーニ茸のクロケットとトピナンブールを添え、さらに11種類ものキノコたちとハーブ各種と、盛り沢山の心躍る内容。どこをどの様にして食べても楽しめますし、11種類のキノコたちの薫り高さや、トピナンブールの甘味が鮮烈に印象に残るほど際立っているのです。先述した魚料理や、この肉だけでなく、野菜も本当に素晴らしいものを使われている事が強く伝わってきますね。
鴨の胸肉独特の凝縮された旨味と、ポルチーニ茸を始めとするレモングラスとルッコラの香りや苦味、それにトピナンブールの甘みが、口中で絡み合いながら拡がっていき、素材の持ち味がいかんなく発揮された一皿。また、使われている皿のセンスも素敵です。
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