レギュラー奪取も夢じゃない、長友のインテル移籍
アジア人でただ一人、インテルに名を連ねる長友、期待は大きい
ドーハで行なわれたアジアカップで、長友は全6試合にフル出場した。オーストラリアとのファイナルで、李忠成(サンフレッチェ広島)の決勝ゴールをアシストしたのは記憶に新しいが、グループリーグのサウジ戦と準決勝の韓国戦でも、前田遼一(ジュビロ磐田)の得点をお膳立てしている。大会中に何度も繰り返していた「ゴールに絡む仕事をしたい」という思いを、ピッチ上でしっかりと表現したのだ。
サイドアタッカーとして得点源を担った岡崎慎司は、「佑都に申し訳ないので、謝っておきました」と決勝戦後に苦笑いを浮かべた。カタール戦、韓国戦、オーストラリア戦で、岡崎は決定的なヘディングシュートを決め損ねている。ラストパスを供給したのは、いずれも長友だった。大会MVPは本田圭佑に譲ったものの、攻守にわたる長友の貢献度は際立つ。
新天地となるインテルは、言わずと知れた世界屈指の強豪である。05-06シーズンから国内リーグ5連覇を達成しており、昨シーズンはUEFA(欧州連盟)チャンピオンズリーグも制した。ヨーロッパ代表として出場した昨年12月のクラブ・ワールドカップも勝ち取り、世界の頂点に君臨する。
チームにはワールドクラスがズラリと揃う。昨年の南アフリカW杯で準優勝したオランダのスナイデル、日本がグループリーグで対戦したカメルーンのエトー、昨年10月の日本戦に出場したアルゼンチンのカンビアッソやディエゴ・ミリートなど、各国の代表クラスばかりだ。欧州、南米、アフリカのビッグネームが集まる多国籍軍団に、長友はアジア人でただひとり名を連ねているのだ。
気になるのはレギュラーに定着できるかどうかだが、チャンスは十分にある。長友の定位置である左サイドバックは、ルーマニア代表のキブと元アルゼンチン代表のサネッティが務めているが、キブはセンターバックが、サネッティは右サイドが本職である。どちらも、左サイドバックのスペシャリストではない。名門インテルが、長友に触手を伸ばした理由がそこにある。