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お酒のロゴは禁止すべきか――世界の事情

来季からJ2に昇格が決まったロッソ熊本。だが、胸のユニフォームの焼酎「白岳」のロゴが消えることがほぼ確実となった。世界のサッカーリーグではこうしたロゴ規制はどうなっているだろうか。

執筆者:斉藤 健仁

ロッソのユニフォームから「白岳」が消える

2004-05シーズンのCL王者、リヴァプールのスポンサーは有名ビール会社
来季からJ2に昇格が決まったロッソ熊本。だが、胸のユニフォームの焼酎「白岳」のロゴが消えることがほぼ確実となった。

Jリーグが「お酒の名前が、テレビ放映などで子供たちの目に触れるのは好ましくない」という見解を示したためだ。アルコール飲料など年齢制限が伴う商品のロゴをユニフォームに出すことは自粛すると、理事会で合意されている。

「白岳」を製造しているメインスポンサー高橋酒造(熊本県人吉市)は2005年以来、熊本を支援。焼酎ブランドのロゴをユニフォームに出したのは昨年からで、年間約3億円になる熊本の運営費の1割近くを支えているという大口スポンサーだったのだが……。

今後も熊本を支援する予定だが、会社名にも“酒造”が入っているため、胸ではなく他の場所にロゴを付けることを検討している。

フランスでもアルコール・タバコはNG

それでは、お酒やアルコールの製造品が他の国でユニフォームのロゴになっていないのだろうか。

やはり、アルコールと関わりの深いサッカーでは酒造メーカーがスポンサーになることは多い。イングランドでは“カールスバーグ”がリバプールのスポンサーになっているし、アルゼンチンのキルメスというクラブはそもそもビール会社がオーナーだ。

イタリア、スペイン、イングランドといった欧州の主要リーグはスポンサーロゴに関しては比較的自由。だが、日本と同じように、アルコールのスポンサーロゴを禁止しているのはフランス。フランスでは、アルコールやタバコに関する広告の規制は厳しい。当然、国内リーグであるリーグ・アンでもアルコール類やタバコのスポンサーは認めておらず、例えば、松井大輔が所属するルマンのユニフォームの胸のロゴはLe Gauloisという鶏肉食品メーカーだ。

ただ、欧州クラブチームのNo1を決めるチャンピオンズリーグ(CL)では、ビール会社のハイネケンが大会スポンサーなので例外的に認められている。しかし、対戦チームがアルコールやタバコのロゴを着けることは認められない。やはりビール会社のリバプールは、リヨンのホームでCLを戦った際、ロゴなしのユニフォームを着用した例もある。

賭け事も禁止されている場合も

ジェノアの胸ロゴはスポーツ専門ブックメーカーのEUROBET。欧州ではこうした賭け事に関するスポンサー企業も多い。(写真:斉藤健仁)
ドイツの場合、こうした規制は州によって違うという。アルコールではないが、強豪クラブ、バイエルン・ミュンヘンの地元バイエルン州では私営の賭博が禁止されているため、サッカーくじやブックメーカーなどのロゴは着けられない。

一方で、イタリアではACミランのbwin社やジェノアのEUROBETのようなブックメーカーなどがスポンサーになっていることも多い。今年の4月、CLの準決勝でバイエルンと対戦することになったACミランは、バイエルンホームの試合の時、堂々とロゴ付きのユニフォームで出てきた。罰金は約10万ユーロだったが、スポンサーはそれを負担してもあまりあるCLの広告効果と踏んだのかもしれない。

子ども向け商品には配慮を

日本のJリーグでも、かつてはアルコール類がスポンサーになっていたチームはあった。また、J2のコンサドーレ札幌のユニフォームの背中には、地元のビール会社のロゴが入っている。また、パチンコなどのレジャー産業や、消費者金融など、考え方や見方によっては子どもには好ましいとは思えないスポンサーもある。

ちなみに、日本代表のオフィシャルスポンサーは某有名飲料メーカーだが、こちらもアルコールを販売している。バレーやラグビーといった他のスポーツでもアルコールやタバコ会社がオーナーだったり、スポンサーだったりするチームもある。

実際、胸のロゴにお酒の名前が入っていたとしても、子どもには直接影響はあまり考えられないだろう。今回の「白岳」件は、“地域密着”を標榜しているJリーグだけに、少々残念ではあった。イングランドのように、子ども用のレプリカユニフォームには、アルコール類のロゴは着けないで販売するなど柔軟な対応や配慮があっても良いと思うのだが。



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