妊娠中に禁止されているスポーツって?
「妊娠中にどのくらい運動していいの?」は妊婦さんの大きな関心ごと
私は自社のマタニティクラス以外でも、全国の自治体や育児用品メーカー主催のマタニティクラスでお話させていただく機会が多く、年間で何百人の妊婦さんにお会いしています。そうした機会に「妊娠したらどれくらい運動したらいいの?」、「どれくらい安静にしたらいいの?」といったご質問を頻繁にいただきます。妊婦向けのテキストに書いてあるような「適度な運動は大事です」ということだけでは、なかなか目安がつかみきれない部分はあるのですね。
初めての妊娠であれば、「小走りにでも走ったら危ないのでは……」と、街を歩くのもおそるおそる……、という気持ちになるでしょう。妊娠初期の場合は、なるべく無理なく過ごすことが基本です。一般的な妊娠週数と運動開始の目安としては、妊娠16週からウォーキングやヨガ、妊娠20週からスイミングを開始できます。
アメリカのマタニティクラスの教科書に「妊娠したら止めてください」と書いてあるものとしては、パラセーリング、ロッククライミング、スキューバダイビング……といった類の激しいスポーツ。妊娠前からでも、めったにはしないスポーツですよね(笑)。実際に禁止されているのはそういうスポーツですから、ウォーキングはもちろん、調子のいい方は軽いジョギングをしてもいいのです。
自分の体の声を聞きながら
産婦人科医は、健診の際に異常の兆候が診られる場合に、運動や休養の指示を出してくれるでしょう。当然ですが、医師から「運動を控えるように」という指示があるならば、それに従ってください。健診の時に医師からも「適度な運動はしてもいいですよ」ということであれば、その時点で出血やお腹の張りといったことがない限り、「自分の体の声を聞きながら」、スタートするとよいでしょう。
体の声を聞くということは、どういうことでしょうか。体の状態は、検査や診察で明らかになるだけでなく、あなた自身の体調は、あなたでなければ分からないことが多いはずなのです。出血やお腹の張りがなくても「昨日より体が重く感じる」というのであれば、無理な運動は控えてゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。「肩コリなどのこわばりを感じる」のであれば、お風呂で温まりながら腕の筋肉を伸ばすストレッチなどをして、温かいしょうがドリンクを飲んでゆっくり休んでみる。すると、翌日には体がゆるんだ感じがして、「今日はウォーキングしたいな」と思えるかもしれません。このように、体の変化を敏感に受け止めること、それが体の声に聞くという意味です。
「どれくらいの運動がいいのか、どれくらいの安静がいいのか」ということを知るには、自分の体の声を聞くことを習慣にして、心と体をつなげていくことが大事です。この積み重ねで「もう少し動いても大丈夫」という判断もついてくるでしょう。
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