年金

自営業者の年金と老後資金準備(2ページ目)

会社員に比べて老後の公的保障が少ないと感じる人の多い自営業者やフリーランス。会社員の老後保障と比較しながら、公的な保障を補い、自営業者フリーランスにメリットのある準備方法をご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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自営業者・フリーランスの老後の年金

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自営業者・フリーランスの老齢年金を積み上げるには?

自営業者やフリーランスの老後の年金制度をみていきます。まず、公的年金は国民年金から支給される老齢基礎年金のみになります。

ただし、自営業者やフリーランスには定年はないので、自分が希望する年齢まで仕事を続けることができます。また、会社員の企業年金や退職一時金は、「どのような制度を導入するのか」「支給要件や支給額をどのように設定するのか」といった基本的な仕組みは企業側が設計しますが、自営業者やフリーランスは老後の上乗せ年金を自分のライフプランに合わせて自由に設計することもできます。

自営業者やフリーランスが老後の上乗せ年金を自由設計する場合、会社員の年金制度のように税制上のメリットなどを利用できる年金制度があります。自営業者・フリーランスにメリットのある年金制度をみていきましょう。
 

自営業者・フリーランスの上乗せ年金

はじめに、2階部分・3階部分の上乗せ年金を準備する方法でメリットのあるものをみていきましょう。

国民年金から支給される老齢基礎年金の上乗せとして、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者のみが加入できる制度に「付加年金」があります。付加年金は国民年金の給付の1つで、国民年金の保険料に月400円を上乗せして納付すると、老齢基礎年金に「200円×付加保険料を納付した月数」の付加年金が上乗せされ、老齢年金と同様終身で支給されます。例えば、付加年金の保険料を10年間(=120月)納付した場合、付加年金として24,000円(=200円×120月)が老齢基礎年金に上乗せされます。なお、付加年金の保険料と支給額は定額で、物価や賃金の変動による見直しはありません。

付加年金は2年以上受給すると支払った保険料以上の年金が支給されることになります。また、負担した保険料は全額を社会保険料控除として所得から差し引くことができ、受給する年金は的年金等控除を差し引くことができます。

付加年金は税制上のメリットがある年金ですが、上乗せできる年金額があまり多くありません。40年間付加年金の保険料を納付しても上乗せされる年金額は年額96,000円(=200円×480月)です。付加年金以上の年金額や終身年金だけでなく一定期間支給される有期年金で上乗せ部分を準備したいと思う場合は、「国民年金基金」がお薦めです。

国民年金基金は、支給期間や年金額にバリエーションがあり、自分のライフプランやリタイアメントプランに合わせて組み合わせを選択することができます。また、将来の年金額がわかっているので老後のプランを立てやすい点もメリットです。さらに、掛金や年金に付加年金と同様の税制上のメリットがあります。

具体的には、国民年金基金は下記の年金から希望するものを選択して加入します。その際は、必ずA型かB型の終身年金を1口選択します。2口目以降は好きなタイプを選択できますが、有期年金の支給額が終身年金の支給額を超えないような組み合わせを選択します。
国民年金基金加入パターン

(国民年金基金HPより)

国民年金基金の掛金は、性別・加入時の年齢により異なりますが、加入後は60歳まで同額の掛金を納付します。また、加入後は年度内に1回加入口数の増口(減口は何度でも)が認められますが、掛金の上限は1ヵ月68,000円と決められています。

一方、確定拠出年金は、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者も加入できる年金制度です。国民年金の第1号被保険者が加入できるのは「個人型確定拠出年金」で、掛金は加入者本人が負担します(確定拠出年金の詳細は「会社でやっている年金制度、401kって何?」をご覧ください)。確定拠出年金は、加入期間が10年以上あると60歳から給付を受けることができますが、給付は年金だけでなく一時金で受け取ることもできるので、自営業者やフリーランスの退職一時金としても利用することができます。ただし、将来の給付額は自分の運用次第ということになります。

付加年金・国民年金基金・個人型確定拠出年金はそれぞれ保険料や掛金の負担時と給付の受給時に税制上のメリットがあります。ただし、この3つの制度をすべて利用することはできません。付加年金と国民年基金は二重加入ができず、どちらか一方を選択しなければなりません。また、確定拠出年金は付加年金や国民年金基金に加入している人でも加入することができますが、掛金の上限が付加年金または国民年金基金の掛金と合算して1ヵ月68,000円までしか負担できません。

老後の上乗せ年金を選択する際は、それぞれの制度のメリット・デメリットを確認した上で選択するようにしましょう。
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