最新のエコカーでは、オルタネーターの容量は最小限に設定
電子制御化が進む現代のクルマで、ますますその重要性が高まっているのがオルタネーターだ。発電容量の問題もあるが、それと合わせていかに抵抗を抑えられるかが課題となっている
最近のクルマでは、エンジンやミッションはもちろん、様々な部分の電制化が進むとともに、オーディオやカーナビ、リアモニター、間接照明など、数多くの電装品が追加され、クルマの消費電力はますます増加する傾向にあります。これに対して、電力を供給する役割を果たしている発電機であるオルタネーターの状況はどうなっているのでしょうか。
まず、オルタネーターが電力を発生する仕組みを簡単に説明すると、銅線を巻いたステーターコイルの中を磁石と同じ働きをするローターコイルが回転し、電磁誘導の作用で電力を発生します。いわゆるフレミングの法則を活用したものですね。
ローターコイルは、ファンベルトを介してエンジンの動力によって駆動されるのですが、この際、ステーターコイルとの間で発生する磁力が抵抗となって、エンジンパワーをロスする要因となっています。磁力による抵抗というのは、ちょっと分かりにくいかと思いますが、手回し発電式ライトや自転車のライト用のダイナモなどを回すときの重さをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。
オルタネーターの場合もこれと同じで、発電量を上げるほど、抵抗が増えてエンジンの動力をより多くロスしてしまうのです。燃費を追求する最近のクルマでは、こうしたわずかなロスも許されませんから、オルタネーターの発電量は必要最低限に設定される傾向にあるのです。
こうしたクルマに、大容量のオーディオシステムや追加モニター、電飾系のアクセサリーなど、電装品を追加してゆくとあっという間に消費電力をオーバーし、バッテリーが上がりやすくなったり、パワーウィンドウの作動が遅くなる、アイドリング時にライトが暗くなるといった、電装品の作動が不安定になるなどの症状が現れてきます。特にコストのシビアな軽自動車やコンパクトカーでは、よりオルタネーターの発電容量がギリギリに設定される傾向があるので、注意が必要です。
発電量が足りなくなると、パッと見ではバッテリー上がりと同じ症状が現れ、実際にバッテリーを新品に交換すれば一時的に症状が改善されるため、オルタネーターの容量不足とは気付きにくいですが、バッテリーを交換してもまたすぐに同様な症状が現れるという場合には、オルタネーターの容量不足に原因があると(あるいは故障や劣化の可能性も)考えられます。
次のページでは、その改善方法を紹介します。